2014.03.22 暮らしの中の旅日記 カシミアの毛玉と着心地と

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

shoka

私にとって humoresque (ユーモレスク)のニットは、日常着の中でも特別な位置にいます。
よく着たくなるのです。
なんといっても着心地がいい。

去年の夏はリネンのニットのお世話になり、この冬にはカシミアに包容されてぬくもりある着心地に癒されたものでした。

写真は humoresque のデザイナーの渡辺さん。
カシミアのシンプルなドレスを着ている姿がぴったりと彼女の雰囲気に似合っています。

しかししかし。
カシミア好きの皆さんはよく知っているように、糸の縒りが強いと毛玉にはなりにくいけれど、カシミア独特のやんわりと包み込むような風合いを活かした糸は撚りが甘めのものの方が断然気持ちが良い。

そしてそのような撚りの甘めの糸を編んだお洋服は、着心地がいい分毛玉が出来やすいのです。だんだんと暖かくなってきて、春がそこまで来ています。
沖縄は春の後ろに初夏が手を振っているのが見えている今日この頃。

今回の記事では、カシミアやウールの毛玉のお手入れを取り上げてみましょう。

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こちらは私が10年ほど愛用しているカシミアの大判ストール。
すごく、すごく温かくて、肌触りのいいカシミアがふんわりと身体を優しく包み込んでくれます。

けれど、これがまた毛玉になりやすいのです。

大好きなお洋服に毛玉が出来ると、気持ちは少ししょんぼりしませんか?

私は毛玉が沢山出来たニットやウールのお洋服を着て外出したとき、なんだか堂々と出来なくて、肩を丸めたくなるような気持ちになるのです。
誰かを待ちながら毛玉をどんどんむしりだしたり、毛玉やそこに絡み付いた毛やくずに日が当たって浮き上がってきたりすると、みんなにばれないかと居心地が悪くなってしまってお家に帰りたくなったこともあります。
なんともいいかっこしいな自分ではありますが、それもまた人のかわいいところですよね。

それにしても、毛玉がきれいに取り除けたらどんなにいいでしょう!

 

いろいろ方法はありますが、まずは一番身近ですぐに出来る指で毛玉をむしり取る方法。
このシンプルな方法しか昔の私は知りませんでした。

毛玉取り機なるものがあるのは知っていましたが、なんだか毛玉にそんなにお金をかける気にもなれずに、記事を読んでは電動の機械をソフトなカシミアやかわいいウールの上に這わせるのは、ちょっと強引な気がしていたのです。

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きっと誰でやってみたことがあるでしょう。
こうして、浮き上がった毛玉を指でむしり取ってゆくのです。

以前 humoresque のニットのお直しをお願いした時に、工場の人が私のニットに出来ていた毛玉を取ってきれいにして返して下さった事がありました。
そのニットの工場の人曰く、指でむしり取る方法が一番です、とのこと。

けれども、指でむしり取る度に気になっていたこと。
それは、毛玉をむしり取る時に毛玉以外の毛も引っ張られて取れてしまうこと。
大事な毛が無くなってしまわないのか?
薄くなってしまわないのか?

極端ですが、そんなことも心配です。
それから、引っ張った時に編み込まれていた毛が伸びて飛び出してくるので、それがまた摩擦を受けて次の毛玉のきっかけになるのではないだろうか?
そんな風に想像してしまって、どうも気が進みません。

なので、この日私は思い切って毛玉取りにはどの方法が一番効率がよく、自分の性質に向いているのか?
という実験をしてみたのでした。

 

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去年までの私の毛玉取りの飛び道具は、T字カミソリでした。
毛玉が出来た素材の上をそっと、T字カミソリで優しくなでていくと、毛玉の丸まった部分だけが刈り取られてゆくのです。
腕のグリップはあくまでも柔らかく、力を抜いて、優しくなでてゆく。

こつは決して歯を立てたり、力を入れない事。

カミソリの歯は皮膚が切れないよう安全設計されているので、ゆっくりとですが表面に浮き出ている毛玉だけが刈り取られていきます。

刈り取られた毛玉は、まるっこくなった部分だけ。
なかなか優秀なT字カミソリ。

手でむしり取った方と、T字カミソリ刈り取った後、結果は一体どんな風に違うのでしょうか?

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手でむしり取った部分。

少し全体的に起毛した感じがします。

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T字カミソリで刈り取った後。
毛玉の上だけが刈り取られるので、風合いはとてもいい感じです。

去年まではこのやり方が一番いいな、と思っていました。

実は今回、試してみたいことがあったのです。

それは以前耳にした、スコッチのスポンジの裏がいいらしいという噂。
そうです、あの誰でも知っている食器洗いの黄色いスポンジと緑色の鍋のおこげを落とすプラスティックのガジガジのついたあれです。

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しかも、鍋洗い用のがじがじの部分がいい具合に毛玉を絡めとってくれるらしいのです。

プラスティックの細かい繊毛の間に毛玉の部分が吸い取られるように無くなってゆくので、ある人は機械を使うよりずっと機能的だ!と書き込んでいるのを、私はネット上で発見したのでした。

しかし、誰も丁寧な画像を付けて紹介している人はいないので、よし、私が実際にやってみようと決心したのです。
けれども、比較的安価なウールのニットならやりやすいものの、私のうちにある毛玉持ちはあのカシミアのストールと、humoresque のニットドレス。

おそるおそる、10年選手のこのストールにスコッチを這わせてみたのです。

さて・・・・・

 

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そっとなでるように、ストールの表面をスコッチでなでてゆくと、なんだかいい感じに毛玉が取れてゆきます。
しかも早い。

これは・・・・・便利かも・・・・・。

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T字カミソリや、指での作業と比較にならないほどのスピード感に、せっかちな私はうれしくなってきました。
どんどん取れるのです。

ただし、決して力を入れて押し付けるのではなくて、表面をやさしくなでるだけ。

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取り除いた後も、結構きれいです。

 

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この日の私の作業の効率は、この毛玉の量を見ると分かります。
一番楽しく作業が進んだのは、やはり効率の良いスカッチ。
指の作業で出た毛玉の雰囲気と、スコッチの毛玉は少し似ています。
ただ、表面にかかる力の具合がコントロールしやすくて均一なので、仕上がりはスコッチの方がきれいでした。

T字カミソリは一番ゆっくり。
時間はかかりますが、きれい度は満足が高かったです。

しかししかし! スコッチの吸引力(そう言いたくなります!)を知ってしまったら、私にはこれが一番向いているような気がしたのでした。

ゆっくりと鼻歌まじりに時間をかけて、T字カミソリを使ってお手入れをする。
ゆとりがあって、とてもうつくしい風景です。憧れます・・・
その方がもしかしたら向いている人もいるのかもしれません。

牡羊座で血液型がO型の私には、結果が眼に見えて体験できるのが向いているようです。
何も星座や、血液型で推し量ることではないのかもしれませんが、何かの参考にされて下さいね。生まれ持った性質は、毛嫌いして矯正しようとすると辛いばかり。
これはどうにも変えることの出来ないことなので、楽しく受け入れて私にはこちらの方法が最適でした。

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上の写真の状態から、毛玉が取れて再びつややかな風合いが戻った私のストール。
うれしいものです。

本当に!

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来年またこのストールを身につけるのを楽しみにして、たたんでクローゼットの中にしまったのでした。

まだ肌寒い日もありますが、季節は変わって、春へ、初夏へと。

 

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お洋服の素材もウールから、コットンやリネンへと。
南の島沖縄では、リネンやコットンが一番長い期間着れる素材です。

humoresque のニットも、カシミアからリネンへと変わりました。

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humoresque  ユーモレスク
秋冬はカシミアを、春夏はリネンのニットをメインで作っているブランドです。
ドボルザーク作曲のhumoresqueという楽曲は、きっと誰もが知っているメロディ。無意識に鼻歌で歌ってしまうように、心地よく着れる日常着を作りたいと始めたと渡辺さんは言っていました。ちょうど良い糸を、ちょうど良い形で編んでみたい」という思いから作られた上質で快適な日常着。リネンのさらっとした素材は着やすくて、レギンスを下に着たり、コットンやリネンのパンツの上から着たり、わたしも日常のおしゃれ着としてずいぶん重宝しています。ユーモレスクのニットは、素材感が活きていて、いつだって着たくなる不思議な服です。ゆったりとしているようだけれどラインはすっきり。パターンがいいのでしょう。
着心地は言うまでもなく、着てみるとそのシルエットの美しさが際立ちます。

 

沖縄はリネンやコットンを着る季節になったのですが、また寒さが戻ってきてウールのソックスを履いてみたり、ストールやカーディガンを羽織ったり。
いろんな素材が混在しているうりずんの季節。

皆さんも、冬の間にお世話になったウール製品を完全にしまい込む前に、是非この毛玉取りをお試し下さいね。
やさしく、なでるように。

自分がやってもらいたいようなタッチで、大好きなお洋服をケアするのもいいかもしれません。
この春も、コレクションの発表があるので東京へ毎週のように通うことになっています。

その時にみたこと感じたことを、またカレンドの記事やShoka:のHPにて報告いたします。季節の変わり目、今しか体験できないことを楽しんで下さいね。

田原あゆみ

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終了したイベントです

次回の初夏の企画展

 

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2年越しの  mon Sakata展 vol 3

4月18日(金)~27日(日)
素材感も、色も、形も楽しみたい!
そんな人にはmon Sakataのお洋服がぴったりです。
毎日着たくなる、コーディネートも重ね着も楽しい。
mon Sakata展は、2年に1回。待ち遠しいのです。
2014年は、楽しいことが目白押し。過去2回の沖縄での企画展が雨だったという、坂田敏子さんも今年こそは晴れた沖縄の空と、輝く海が見たくてわくわくしていることでしょう。
お待たせしました。楽しみですね。

 

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2013.03.01 暮らしの中の旅日記 「いいお天気ですね お靴のお手入れいたしましょう」

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

Shoka
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2月最後の日。
今日はとてもいいお天気でした。

靴のお手入れがしたいと思っていたので、朝早起きをしていざ。

窓を開け放して、道具を並べていたらボール好きのぽぽさんがスタンバイ。

・・・・
そんな目で誘わないでね。
何だか切ないわ。

さて。

3月1日から雪の積もっているという、厳寒の輪島へ行くことになっています。
雪の中を歩けるように、trippenのヌバックのブーツに防水を施したいと思っていたのです。

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こちらがお気に入りのブーツ。
牛皮の表革を起毛させたヌバック仕上げになっています。
バックスキンよりも短毛で、シルキーな感じになるのがヌバックの特徴です。

去年からかなり頻繁に履き、5日間の台北旅行でも毎日履いて朝から晩まで歩き通し。
今まで履いたどの靴よりも履きやすくて、疲れない、歩く旅行にもってこいの素敵な靴。

もう手放せません。

防水加工を施す前に、まずは今までの汚れを落とします。

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雨染みや、食品関係の汚れ、摩擦で毛並みが潰れてしまったカ所を発見。
まずは全体を、豚の毛や馬野家で作られたブラシで、優しくブラッシング。
埃や、小さなゴミを取り除きます。

そのあとに、右上の柔らかめのヌバック用のゴムスポンジで、全体を優しく擦って汚れを落とします。
このゴムブラシはかなりおすすめ。
毎回脱ぐ時に、このお手入れが出来たら、きっとかなりきれいな状態が維持出来ることでしょう。

このゴムで7割近くの汚れは取れそう。

摩擦で毛の潰れたところは、左下の天然ゴムブラシとセットになっている、スチールブラシでブラッシング。
これも状態をみながら力加減を調整しつつ、潰れた毛を起こすようにブラッシング。

完全には元に戻せませんが、柔らかなゴムスポンジとこのスチールブラシでケアすると結構目立たなくなってきます。

道具は大手の靴やさんや、東急ハンズその他、DIYショップにある靴のケアーコーナへいけば売っています。

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摩擦で出来た傷、大分目立たなくなっています。

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こちらは全体のブラッシングが終わった状態。
ずいぶんきれいになりました。

それでも少し、雨染みや、取れなかった汚れがあったので防水スプレーをかける前に、以前から試してみたかったヌバック用のクリーナで洗ってみることにしました。
ほとんどの防水スプレーは、シリコンなどを吹き付けることで革にコーティングするタイプのもの。
汚れた上からだと、汚れも一緒に封じ込めてしまいます。

革を洗うなんてちょっと勇気がいりますが、天然素材のものが見当たらず迷ったあげくに買ったこちらのクリーナーをトライ。

クリーナーが肌につかないように、ゴム手袋でいざ

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古布に泡を乗せて、ブーツ全体に広げていきます。
革にどんどん吸収されてゆくので、ムラにならないように全体に、手早く。

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汚れがあったところはブラシでちょこっと擦ったりしながら。
全体をクリーニング。

ぽぽさんがボールで遊んで欲しそう。
ホイ!
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作業をみているのではありません。
じっと、ボールを見つめているのです。
執念の犬、ぽぽ。

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一通りクリーニングし終わったら、乾いた布で余分な液体を拭き取っていきます。

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ここまでで使った道具たち。
ブーツと一緒に乾くのを待ちます。

さてさてお茶を戴いて一休み。

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台湾で買ってきた中国茶用の小さなポット。
こちらは、陳正川氏という陶芸家の作品。
かなり気に入って、思い切って購入したものです。
このポットで淹れる初お茶。

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中国茶も日本のお煎茶と同じように、お茶は全部出し切るのがコツ。
そうすることで、二煎目三煎目とおいしく味と香りの変化を楽しめるのです。

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茶葉が開いて、蜂蜜のような香ばしい香りが漂う台湾の高山茶。
かなり心奪われてしまいました。

文化は茶とともに。
うんうん、そうだそうだ、
なんて思いながら、ほっと一息二息。

休憩しながら、靴の一連のお手入れの行程のことを思い出してみる。
そこで私が感じたこと。

うちは食器を洗う洗剤や、ケア商品も殆どが天然のもの。
なので、クリーナーの匂いや使い心地が今ひとつ辛い・・・。
ということ。

実は革製品を今までにも洗ったことがある私。
自分の使っているシャンプーとリンスで、かなりいい感じに仕上げたことがあるのです。
が、しかしヌバックは初めてということで、市販のクリーナーを恐る恐る使ってみたのでした。

何だか納得いかない感が募ります。
手袋しなくても使えるものがいいのではないか??
私にも地球にも優しいケア商品がないのか??

ネットで色々調べてみました。
どうやら、下の写真の TAPIR – タピールというブランドのシューケア商品が天然素材で作られているようです。
じっと見ていると・・・・わたしこれ知っているわ!うちにある!と、
以前探しまわって、東京の路面店で天然素材のヌバック用防水スプレーを買ったことを思い出したのです。

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天然素材で出来たものは、やっぱり見た目も気持ちがいい。
お花の横に置いても違和感がありません。

成分は蜜蝋や、天然オイル、アンモニア等。

タピールの創業者は、靴のケア商品に天然素材のものがないことに気づいて、昔の革のケアについていろいろと調べ手、ついにある文献からヒントを得て、このシリーズを作ったの出そう。

ヌバック用の良さそうなクリーナーはまだ見つけることが出来ずにいますが、この防水スプレーをまずは使ってみたいと思ったのです。

蜜蝋や、オイルはもしかしたらヌバックの起毛を潰してしまうかもしれない・・・けれど、これを使ってみたい。
考えてみたら、昔は石油系のものはなかったはず。
防水をしようと思ったら、オイルで水を弾くか、蜜蝋で塞ぐかだろう、とやはり思うのです。

Shoka

・・・・・庭ではぽぽがお待ちかね。

Shoka

私のブーツもすっかり乾いています。

何だか最初よりも、艶が無くなって白っぽい感じになってしまったのは、クリーナーで油分が抜けてしまったからでしょうか。
ぱさぱさな感じにちょっとしょんぼり。

が、めげて入られません。
決心して乗った船です、港につかねば。

TAPIRの防水スプレーに入っているオイルが、ブーツの艶と色の深みを呼び戻してくれるかもしれません。

ということで、もしかしたら毛が潰れてしまうかもしれないけれど、天然の防水がどのような感じに仕上るのかをみたくて、どんどん船を漕いでみたのでした。

TAPIRの防水スプレーは、ガス充填式ではないので、よく降った後ポンプ式の霧吹きのような感じでの吹き付けになります。
すると、どうしても霧の粒がまちまちの大きさになり思うように均一にスプレーをすることが出来ませんでした。

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こんな感じです。

それで、豚毛のブラシに吹き付けて、ひたすらひたすらブーツの革をブラッシング。

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スプレーしたり、豚毛で撫で付けたりと、かなりせっせとブラッシング。
いいのか?
自問自答しながら。

このスプレーは天然成分なので、香りもいいし、手についても全く気になりません。
けれど、最初に懸念していたように蜜蝋成分が、撫でた端からヌバックの毛を潰していく感覚がありました。

何だか革の表面が表側のような艶を帯びてきたのでした。

trippenの違うシューズの革に似てきたのです。
それはヌバックをオイルで仕上げた風合い。
まさしく、今私はヌバックを蜜蝋とオイルで磨いているのだな。
という感じです。

仕上がりは以下の写真。

Shoka

色の深みは戻りました。
しかし・・・・これは、何だか別のブーツでは?というくらいに雰囲気が変わってしまいました。

かっこいいような気もしますが、ヌバックのシルキーな感じが好きだった私の心は、ちょっとブレイク。
水には強くなったように見えます。

実際、ヌバックに防水加工をすると表革よりも水を弾くいいます。
それは、輪島に行った時に試してみましょう。

ではと、違うヌバックのブーツをブラッシングして違う防水スプレーで仕上げてみました。
みなさんの参考になりますように。

Shoka

同じ手順で汚れを落として。

丁寧にブラッシングと汚れ落とし。
起毛させて、毛並みを整えます。

そして

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30cmくらい離したところから、防水スプレーを全体に均一に吹き付けていきます。
LPガスを使用しているので、必ず野外で。
製品にもちゃんと「吸い込むと有害・必ず野外で使用」と書いてあります。

Shoka

そして仕上がりはこちら。
ヌバックの毛は潰れていません。
ムラがあるのは、15年くらい履いているうちについてしまった雨染みや色々。

ふむふむ。

シルキーな風合いを残すのなら、クリーナで洗わずにブラッシングした後に防水スプレーというのが良さそうです。

みなさんがヌバックの革靴に防水スプレーをする時には、
ブーツを買ってすぐに、軽くブラッシングをした後に防水スプレーを上記のように野外で30cmのところからむらなくかける。
というのがおすすめです。

私のように天然素材が好きな方、一緒に情報交換しながらいいケアを探しましょうね。
私もめげずに色々試してみます。

TAPIRのスプレーは、表革に試してみたらとてもいい感じでした。

Shoka

吹き付けてよく馴染ませます。
こちらは香りも良くて、オイルが革を生き生きと蘇らせてくれます。

Shoka

革に張りが出て、艶もナチュラルでいい感じです。
少し位雨に降られても、心強い気がします。

今回色々試してみて思ったこと。

ヌバック
◯普段からのブラッシングが大切。
◯クリーナーは艶を奪ってしまうので、表示をみてリンス効果も兼ね備えているものを選ぶべし。
◯クリーナーは最後の手段。あくまでもブラッシングと、天然ゴムでのケアが大事。
◯天然素材を選んだ場合、風合いが変わることがあることを認識すること。
◯どちらを選ぶかは自己責任で判断。

今度クリーニングする時に試してみたいことがあります。
それは、天然成分の洗剤でクリーニングをしたらどうなるかということ。
いつか、「松の力」で試してみようと思います。

ネットやyoutube等で検索してみると、革製品のクリーニングが出てきます。
じゃぶじゃぶ洗って、リンスをしたり、ワックスをかけたり。

現代はほんと便利、色んなことを調べてトライすることが出来る。

私の失敗もいつかの成功につながるし、誰かの約に立つかもしれないと思ってシェアしました。
今回お手入れしたtrippenのブーツを履いて、明日から輪島へ行ってきます。

毛並みは変わってしまったけれど、ますます愛着の湧いたこのブーツ大切に履きますよ!

そうつぶやいた横で、ぽぽは

Shoka

楽しそうだね、良かったね、

で、そろそろ遊ぶ?

と。

いい陽気の一日でした。

最後に

Shoka

明日からの3日間、私はShoka:にいませんが、関根が楽しくお店番。
みなさまゆっくり遊びにいってくださいね。

Shoka

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靴のお手入れいたしましょう−forme バックスキン

いいお天気の日がやっとやってきたある日。そうだ、靴のお手入れをいたしましょう!と、trippenのヌバックのブーツやショートブーツのBOMB。最近履かなくなった靴も、履きすぎている靴も、みんなまとめてお手入れしました。

ハッと気付いたら写真を撮っていなくって、これはみんなにシェアしたら喜ばれるのにいかんいかん、と最後の一足。履き潰しそうな勢いでよく履いているformeのボタンストラップシューズのお手入れをご紹介いたしましょう。

バックスキンを使ったタイプなので、少し毛羽立ってワイルドになってきました。

私がよく使っているケア商品は写真の通り。TAPIRのスプレータイプは完全天然素材を使った防水シューケア用品。シュッとしたあとよく伸ばして使います。あとはここに古い布があればなんとかなるものです。一番大切なのは何と言ってもブラッシング。表革でもバックスキンでもヌバック(表革を起毛させた革で、柔らかくシルキーなタッチ)でも基本はブラッシング。

なのでまずはブラッシングをして全体についた埃や汚れを落とします。

*靴のお手入れは靴が完全に乾いている状態で行います。

forme 靴 お手入れ

ちなみに私は2種類のブラシを持っていて、黒い靴には奥の黒いブラシを。薄い色の革や茶系には手前の茶色っぽいブラシを使用しています。大切なのは素材。天然の動物の毛が使われているものがオススメです。ものにもよりますが化繊のタイプだと静電気が起こったり革を傷つける原因にもなりますので天然物のブラシの割高感には目をつむってそちらを選ぶことをオススメします。長く大事にすることを思えば結果的には割安になります。きっと。

ということで、黒いブラシ(ホースヘア)で全体をブラッシング。formeの靴は靴底も革で作られているのでくまなくブラシでしゅっしゅっしゅっ。泥はねなどの汚れがあったら、固く絞った布で拭き取って、乾いたらブラッシング。

古い布をこういったお手入れで使い切った時の満足感はなんとも云えません。

定期的にお手入れをしていたので(履く時にあら?と思ったらブラッシング。それだけ)そんなに目立った汚れもなく、今度はもっと酷い状態からの復活劇も載せたいなあ、と思っています。

さあ、こうして下準備ができたら、次はクリームの登場です。

Shoka:でも扱いのあるタピールのフレーゲクリームは、この革にはミツロウが多すぎてダマになることがあるので今回はマルチタイプの”Ranapur ラナパー”で。布にワックス状になったクリームをつけて、革に塗り込んでいきます。formeの小島さんに教えてもらったラパナーは検索するとアマゾンなどでも手に入るのでオススメです。少量で十分伸びるので長持ちするのでコスパよし、天然由来なので安心して使えます。

こういったバックスキンには毛の流れがあって、いろんな方向に塗りながら毛がしっとりと自然に流れて、綺麗に寝るように塗り込んでいきます。逆にワイルドに起毛させたかったら起毛する方向に塗るといいです。

塗り塗り、塗り塗り。少量を伸ばしながら塗り込んでいきます。

さて仕上がりは?

最初の写真と比べると革が喜んでいるのがわかります。塗り終わったばかりなので少しツヤがありますが、馴染むとマットで柔らかな光沢に落ち着いてきます。表革に使った時にわかるのですが、多少の傷は目立たなくなり、色もどんな色にも使えるのがいいのです。

ああ、お手入れをしていると心も落ち着いて満足感があるものです。心も一緒に磨いているのかしら?

そうそう、お手入れをする時に靴底の減り具合は要チェック。

よーく見ると、左のほうが減りが早いのがわかります。左足をすこーし引きずっているのかもしれません。今回はセーフですが、そろそろ靴底の修理を意識しなくては。あと歩き方にも注意。こんな癖があったのね。ふむふむ。

裏も汚れを落としてので、床の上に置いて記念写真ぱちり。これからも私を支えていろんなところへ一緒にいきましょうね。

formeの靴はとても立体的で履きやすく、足に馴染みます。そして感動的なほど形がいいのです。まだまだ知る人ぞ知る靴ですが、デザインがヨーロッパの古典的なものの中から現代生活の中で履けるように整えているものばかりなので合わせやすいのが特徴です。

私の足がコロンと丸いので、履くうちにずいぶん丸くなってしまいましたが、最初はそれはもうかっこいい形でしたのよ。どうぞ見にいらしてくださいね。

続いて、やはりいい靴を作り続けているtrippenから出ているpanのお手入れも。かなり履き込んで以前びしょびしょに濡らしたまま履いたため・・・

気になりますよね。近日中にお手入れをもう一つアップしますのでどうぞお手入れの続きをご期待ください。

Shoka:店主 田原あゆみ

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天然染のお洗濯

天然染 ARTS&SCIENCE お手入れ

 

友人の着ている藍泥染のブラウスがあまりに美しくて写真を撮らせてもらいました。

天然染料で染められたお洋服は近年多く出回ってきているので、皆さんお手入れは慣れてきていることと思いますが、これから汗ばむ季節なのでいくつかコツをまとめてみますね。これは天然染料だけでなくお気に入りの色を長持ちさせることとしても活用できます。

お洗濯のこと

○中性洗剤を使うこと

天然染料もアルカリか酸性のどちらかで最後色を定着させています。そこに左右されないように中性洗剤で洗うことで色の美しさをなるだけ保つことができます。

○脱いだらなるだけ早く洗いましょう

汗が付いているのでなるだけ早く洗い流した方がいいのです。その日の体調によって、汗の成分が酸性やアルカリ性だったり、気温や湿度で量が違います。私は藍で染められた水色の大好きなブラウスを溜め置きしていたら、襟ぐりや袖口が褪色して白っぽくなってしまった経験があります。なので脱いだら時間をおかずにささっと洗うことをお勧めします。

○陰干し必須

できるだけ室内に干しましょう。褪色の大きな原因の一つが日光や照明によるものです。室内で保管していても、外光に当たってしまったり、照明の光が当たると褪色してしまったり変色してしまったりするのです。干す時も保存する時にも光はできるだけ遮断することをお勧めします。藍泥染 ARTS&SCIENCE 

以上の3つが非常に大切なところです。次に気持ちよく仕上げるコツとして以下のことをお勧めします。

○汗取り用にアンダーウエアーを着用する

下に一枚肌着をきることでブラウスやジャケットに直接肌が触れないように気遣うことができたら、洗濯回数を減らすことができます。これは着物をきていた日本人の知恵。一番上に着る着物の巣材の風合いや色や模様を長持ちさせるためにも重ね着を生かしていたのです。薄い方が涼しいので、多少値が張っても上質な強撚糸のさらっとしたコットンやリネン、シルクのアンダーウエアーを持つことは、長い目で見るとお気に入りのお洋服を長持ちさせるのに役立ちますよ。

○水は軟水がお勧めです

沖縄の水は石灰分を多く含む硬水。phが高めでアルカリに偏っています。なので軟水で洗った時に比べて色の褪色が多少早かったり布の表面が起毛してしまうことがあるようです。起毛も褪色の一要因なので、軟水で洗うのが布のためにも色の保存のためにもいいのです。けれど、軟水機がない方も大丈夫!水を溜め置きしておくことで水質は多少よくなるのです。私のお勧めは、人が使った後のバスタブの残り湯を使うこと。きっと皆さん体は外で洗ってから湯船につかるので水はそんなに汚れてはいないと思います。私はその残り湯を使って、ささっと薄手のブラウスなどは洗ってしまいます。洗剤もごく薄くて大丈夫なので、汗を洗い流す、くらいの気持ちで洗います。

○薄手のものは脱水にかけない

浴室で手洗いしたものや、洗濯機で手洗いモードで仕上げた服はびしょびしょのまま浴室やクリーニングルームでハンガーにかけて干しています。湿度の高い沖縄でも、除湿機をかけたらあっという間に乾くのです。

私はどちらかというとおおらか(大雑把?)な性格です。その私がいろいろな失敗を経験して、その結果たどり着いた方法をお勧めしています。きっと人によってはもっと細やかな気遣いやテクニックがあることでしょうね。

夏はとにかく汗をかいたり、肌がベタベタしたりするものです。気持ちよく洗えて、さらっと涼しく着たいものです。最後に注意点

◎天然染のものは特に、色移りすることがあるので薄い色のものとの重ね着は避けてくださいね。汗をかいて下に来ていた薄い色のパンツにブラウスの色が移ってシミになったりするとしょんぼりです◎気をつけてくださいね。

 

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trippenの修理その後

trippen pan

穴があくまで履き続けたtrippenのpan。

そのご修理が仕上がって戻ってきました。それがとても綺麗になっていたので、ブログでご紹介しますね。

trippen pan

すり減って土踏まずの辺りの革の部分が摩擦で剥がれて、穴があいていたところはきれいに継ぎが当たっています。

かかととつま先部分のカップは新品に付け替えて、インソールも2足分新品になっています。

trippen pan

インソールが新品に変わると、真新しい靴になったみたいにとても綺麗です。

修理の見積もりは以下のようになっています。

アウトソール張り替え
– Closed 10,000yen +税〜
– Cup(構造上インソールの交換もセットになります。) 14,800yen +税〜
– Penna 14,000yen +税〜
– x+os 14,000yen +税〜
– Wood(ソール・ゴム交換。部位によって異なります。) 2,500yen +税〜
ステッチ入れ直し 2,000yen +税〜
かかと内側革交換(両足) 4,600yen +税〜
インソール(Closedコレクションの取り外しの出来るタイプのインソール) 4,000yen +税〜
シューレース(色や長さによってはご用意出来ないモデルもございます。) 800yen +税〜
※金額は目安です。靴の状態によって変動いたします。
※底の減り過ぎなどでプラス料金がかかる場合がございます。
※上記項目以外にも様々な修理に対応いたします。詳しくは各ショップまでお問合せ下さい。

以上はtrippenのサイトから引用したものですが、今回の修理内容はソールの取り替え+穴の継ぎ当て+インソールの交換を一回でしたので、割安になっていました。前回のお手入れの記事もご参照下さい。

trippen pan のお手入れをしましょう

沖縄在住の方で、trippenの靴を修理に出したい方はいつでもShoka:までお問い合わせ下さいね。送料もうちから出すと割安だと思います。

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