『環』めぐる カレンド沖縄掲載Shoka:の連載より

クロヌマタカトシ Shoka:

Shoka:の金城が今回の企画展に寄せて、素敵なエッセイをカレンド沖縄のShoka:の連載に書いてくれたのでこちらにも転載いたします。

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『 環 』めぐる

                          写真・文  金城 由桂

クロヌマタカトシさんの作品を初めて見た時感じたのは「静かで強い」ということだった。

強い、という表現があっているのかわからないけれど

静寂の中に何か芯の強さみたいなものがあって、誇り高い。

みる人の心にすーと入って、しっとりと潤してくれる。

その潤いは静かに弧を描き自分の中の奥の方へ迫ってくる。

その感触が心地良い。

なんだかピアノの音にも似ている。

Haruka Nakamuraや高木正勝やHauschka の曲が聴きたくなって、部屋の端から引っ張り出して聴いてみる。

クロヌマタカトシ Shoka:

息遣いが聴こえてくるようだ。

架空の生き物だという。

普段白い鳥を作ることが多いらしいが、今回はなんとなく「青い鳥」を作ってみよう。と。

クロヌマタカトシ Shoka:

Shoka: に届いた3羽をよく見ると、一羽一羽それぞれ羽ばたく瞬間がどれも違っていて、色も微妙に違っている。

本当に実在する生き物と共に呼吸を合わせながら、その姿を捉えていったのだろうかと思ってしまう。

きっと美大に通っていた頃にもこういった作品の原点となる制作をして、きっと目立つ存在だったのだろう。

そう思っていたのだけれど、クロヌマタカトシさんの経歴は違った。

クロヌマタカトシさんが今の道に進み始めたのは、わずか6年ほど前だという。

なんと大学は美大ではなく、理工系に進学したが、次第に違和感を感じるようになって自分のすすむ方向を模索し続けていた。絵を描きたいという思いがずっとあったのだが、両親に言い出せずその思いを押し込め、安定の道、親の期待に応える道を進もうと思っていた。

しかし違和感が積み重なり大学は2年で中退。

その後建築関係の専門学校に通い、建築関係の職場へ就職。現場監督まで務めたのだが

会社の方針と自分の求める生きがいとのギャップに気付いてからは、もどかしい日々が続いた。

でもその建築現場で出逢った端材こそが、希望の光となった。

毎日深夜に帰る過酷な日々の中で、帰宅後、端材を「彫る」ことが唯一至福の時間だった。

大きな右手の中にすっぽり収まる小っちゃな林檎を彫り上げた。

木を彫る作業は、まるで「自分を取り戻しているような時間と、感覚だった」という。

クロヌマタカトシ Shoka:

それが転機となり、家具を作る仕事や木工に関わる仕事へ進もうと訓練校に通い始めた。

でも訓練校で家具制作を行っていくうちに、そこでまた違和感と出くわす。

家具とはばらばらのかけらを組み立てるもの。組み立てるのではなく、ダイレクトに彫って何かをつくる仕事がしたいという気持ちがむくむく大きくなっていく。

クロヌマタカトシ Shoka:

そこから、最初はスプーンやお箸などのカトラリーを作り、次第にうさぎや猫などの動物を彫り始めていく。鳥、犬、そしておじいさん。など。

個展を始めるようになってからは、まだ約5年しかたっていないというのには驚きが隠せない。

クロヌマタカトシ Shoka:

動物たちはやさしい目をしていて、何か語りかけてくれているようだ。

その持つ空気や風景が、背景に見えてくる。

朝の冷たい空気の中

吠える練習をしているのかな。

お母さんは遠くで見守っているのかな。

雪がしんしんと降っているのかな。

沖縄からは遠く 遠く離れた森の奥。。。

クロヌマタカトシ Shoka:

クロヌマさんの作品は、狼が感じている景色を捉えている。

自然に対する畏敬の念が感じられる。

大きな自然の中の一コマ。

動物も人も自然の一部として強く結びついている世界。

生と死が循環している・・・大きな自然の中の一部の自分。

こうやって自分の頭の中にある風景を求めて、彫り進めて作る作品もあれば

対極の「自分の予期せぬ表現」にも挑戦している。

数年前から流木を拾い始めた。

拾った流木を見て、無意識だったものが木によって触発され「何かを作りたい」という方向へ向いた。

1年ほど前から流木を見つめ、自然が見せてくれる景色を夢中になって彫り、出来上がる世界に夢中になっているという。

今回もそんな流木を使用した木彫作品が数点Shoka:に並んでいる。

作品「還元 山羊」

クロヌマタカトシ Shoka:

流木そのものが物語る自然の偉大さの力も借りて、自分の手を加えて作品にする

というのは、重圧な責任が出てくる。

自分が「こう表現したい」とエゴが強すぎると、すべてが台無しにしてしまうという恐怖。

しかし、自然に任せ過ぎる・・・事も無責任となる。

そのせめぎ合いの中で制作を行い、そこに「宿った」という瞬間が来たら手を止める。

そうして完成された作品たちは、深く、何度見つめても広く広く・・・

なんども感じた自分の違和感を無視せず、向き合った結果なのかもしれない。

大学在学中、自分の進む道ではないという決断を下して中退という舵をきっていなかったら。

建築現場で現場監督をしながらも、自分の中に湧き起こる違和感を感じたからこそ、端材を拾い彫り始めた。

家具作りを学びながら、バラバラに作られ作業でこなされ仕上げられて行くことに違和感を感じ、それを見つめたからこそ始まった木彫の仕事。

木が彼をこの道に案内してくれたのだ。

いくつもの違和感に対して向き合ってきたからこそ、濃縮した時間を過ごし6年という年月でこういった作品を手がけられる作家になったのではないかと思う。

クロヌマタカトシ Shoka:

何か大きな循環を感じる作品と、この空間は27日(日)までの開催となっています。

ぜひ、時間を作って期間中に見にいらしてくださいね。

由桂

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時の記憶 ⅲ 青い鳥

クロヌマタカトシ Shoka:

青い鳥が飛んで行く先には何があるのだろう

「青い鳥」 クロヌマタカトシ 木彫作品

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原風景

クロヌマタカトシ Shoka:

いつか行ってみたい、心の奥で見た景色

その世界を実態を持たずに歩き回ってみたい

「オリックス」と「白鳥」 クロヌマタカトシ 木彫

 

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静謐

クロヌマタカトシ Shoka:

言葉にならない時間のなんと尊いことか。

「白へ向かう」 クロヌマタカトシ 木彫作品

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和井内京子のバッグ

Shoka:

カレンド沖縄にアップした今週の記事を転載します。この記事の続きは近日中にこのサイトにアップしますので楽しみにしていてくださいね。

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人生の中で一番嬉しいのは、面白いと感じる人と出会うこと。

Shoka:の次回の次回企画展は

「LONDON便り 和井内京子のバッグと友人マグダの皿たちと」

10月14日(金)~23日(日)

ロンドン在住のバッグデザイナー和井内京子氏のストーリー性あふれるバッグを中心に、フランスのアンティークの服、インディゴで絵付けされた皿たちがやってくる。

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2015年の夏に訪れた時アトリエはサウスロンドンの鉄道沿いにあった。

面倒見のいい彼女の周りにはいつも若い人々が集まってくる。

アトリエで働く彼女は、小さな頃から京子さんのアトリエに通いつめては布に触ったり、仕事を眺めたりするうちにデザイナーの道に進んだ。卒業後よそで働くうちに、「やっぱり京子のところで働きたい」と戻ってきたそうだ。

どこで暮らしていても、どんな職業であっても、人が何かに打ち込んでいると人を引き寄せ影響を与えることになる。まるで最初からそうなることが決まっていたかのように。

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様々なバッグが壁に掛けられていて、それぞれのバッグに惹きつけられる人はきっと全く雰囲気の違う人なんだろう。なのにどれを見ても一貫して和井内京子の世界を感じる。

日常と非日常の隙間に存在する京子劇場の中から生まれてきたバッグたち。

彼女自身がまるで「あるおとぎ話」のようだからか。彼女と出会った最初の年に私はそんな印象を彼女と、彼女の作るバッグたちに感じていた。

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このバッグはリュックにもなるし、前掛けバッグにもなる不思議な形。

なんだか洋服の一部のように存在感がある。

彼女の作るバッグたちは外観に劣らず、中の仕上げも丁寧で使っていて楽しい。

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食べることが人生の中心の一つになっている京子さんの作るピクニックバッグ。

生地は袴を作る時に使われるツヤとハリのある素材を使用。見ていると気持ちが明るくなるバッグだ。

このバッグを持って友人が来たら、中から何が出てくるのか目が離せなくなりそうな気がする。唾をごくんごくんと飲み込みながら彼女が「さて、そろそろご飯にしましょうか」と言うのを待ちきれないでいるだろう。

スモークサーモンとイチジクとブリーのサンドイッチかしら?それともルッコラと生ハム???

空想だけで胸もお腹も膨らみそう・・・・・。

ごっくん。

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バッグの中はこんな感じ。

色を変えてコーディネートしていたり、たくさんポケットがあったり。

中身を整理しやすいように様々な工夫が加えられている。

色のトーンはカラフルなのに落ち着いていて大人の遊びを感じる。

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こんな風にドリンク用のボトルホルダーが付いているのも嬉しい。

仕事に持って行く時には水筒を入れてもいいし、このバッグならピクニック気分で仕事に行けそうだ。

去年私はこのバッグを見せてもらった時、う~ん私の生活の中ではもう使わない感じだな、と、そう思った。

1年前の私はワーカホリックで、運転手はお酒が飲めないからワインを持ってビーチに行くのもなんだし、子育ても終わったから子供を連れて海や山に行くこともそうそうないし・・・そう思って見ていたのだ。去年の私は視野が狭かったなあ。

今年の私は、このバッグに美味しい飲み物とお弁当を入れて、仕事道具やいろいろと一緒に出勤したいと感じる。見ていて楽しい気分になるのだ。バックの中には誰かに飲み食いして喜んで欲しいものを入れたくなる。自分のためだけでなく、誰かの美味しい顔が見たくて中に色々詰め込みたい。

1年でこの違い。人が変わるのは自然なことだけれど、自分の心がこの1年で緩んだ気がしたのはなんだか嬉しい。

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そのアトリエで私はこのバッグに恋をした。

ちょっと粗めの古い麻の布と革のコンビネーションが良くて、大きさや形も好みだった。

ポストマンバッグと名付けられたこのバッグは、ヨーロッパを旅する度に見つけてきた麻の布を使って作られている。一昔前までは郵便局員たちはこの麻布の袋に郵便物を詰めて肩に担いで配達して回っていたという。彼女がロンドンに居を構えた 80年代にはまだこのような麻袋が一般的に使われたいたという。

私は彼女のアトリエにあった布の中から好みの布を選び、革の色を選んで自分のためのポストマンバッグを注文したのだ。

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そしてそれから1年後、私は再びロンドンの彼女の新しい工房を訪れた。私が注文したバッグが出来たというし、私はもう一度しっかりと彼女の世界を確認したかったから。

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彼女が「運命の女神に導かれるようにして出会った」と語る新しいアトリエは古いレモネード工場の一角にある。窓から見える景色に私は心奪われた。

前回と同じくサウスロンドンの芸術大学や公園のある一角は静かで、独特の空気感がある。

私が注文したポストマンバッグは出来上がっていて、そのアトリエで夕日を浴びて私が来るのを待っていた。

Vol 2へと続く

*みなさんこんにちは、Shoka:の田原あゆみです。Vol 2はShoka:のHPにて近日中に掲載いたします。私は今青森に来ています。台風18号が熱帯低気圧に変わって、熱気を吹き飛ばした後の北の国はとても涼しくて、快適です。青森では憧れの北の海で拾い物をしたり、山や川の雄大な景色や季節の変化を存分に味わってきたいと思います。

14日から始まる京子さんのバッグ展、彼女のことを知らない人がほとんどだと思いますが、遊び心と情熱と、まるでおとぎ話の中の登場人物のように子供の心を持って大きくなってしまった個性豊かな人から生まれ出る世界はとてもとても面白く、たくさんの方に紹介できたらと思っています。

みなさん是非足を運んでくださいね。

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次回企画展

10月14日(金)~ 23日(日)

「LONDON便り 和井内京子のバッグと友人マグダの皿たちと」

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LONDONを拠点に、世界中を旅して集めた布を使う和井内京子のバッグから感じるのは、愛着と決別と旅。

好きなものを選ぶ時に捨てるもの、旅する時に選ぶもの。人間の営みの中にはいつだって、選別することは付いて回る。彼女の作品を見ていると、愛着の深さが感じられて、なんだか愛おしくなってくる。とても人間らしい目線で選ばれた材料たちが使われているからだ。古いものも新しいものも、友人と一緒に作ったボタンや、テキスタイル、アンティークの布やリボン。誰かに会いに出かけたくなるような、そんなバッグたちになのです。日常のお出かけがまるで旅のようになる、そんな作品たちに会いに来てくださいね

今回は、バッグの他に、アンティークの服、インディゴ色の絵付け皿、陶器のボタンがやってきます。

ただいまのShoka:

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○ミナ ペルホネン、ARTS&SCIENCE、humoresque、ヨーガン レール、トリッペンなど秋冬のアイテムがぞくぞくと入荷中です。革小物のアイテム、ブーツなどは今の時期、充実しています。

○2016年8月から営業時間が11:00 ~ 18:00へ変わりました。

少し早めのオープン時間になったので、きっとご旅行中の方や子育て中のママさんたちにもご都合か良いかなと思っています。詳しくはこちら

どうぞ、宜しくお願いします。

○Tavi Shoka:

Shoka:オーナー田原あゆみが自分の足で回って、自分の目で見つけてきたヨーロッパ、主にパリのアンティークを紹介しています。

絵本からとび出してきたようなキノコの版画や、古くに特殊な印刷で仕上げられた一枚。

お皿やカトラリーなどもどれも素敵なものたちばかり。

ヨーロッパの地からShoka:へたどり着いて続々お店に並び始めています。

「アンティークは誰かに見出され、愛されたからこそ受け継がれてきたものです。時間という篩にかけられて、残ってきたものには確かな魅力があるのです。そんなものを自分で見て回り集めてきました。ヨーロッパの銀製品や、手仕事を生かしたものたちには独特の雰囲気が詰まっていて、暮らしの中で使うと独特の景色が美しいと感じます。暮らしの中に、時間を超えたストーリーを迎えることも愉しいことだと感じます」

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暮らしを楽しむものとこと

Shoka:
http://shoka-wind.com
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791(火曜定休)

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