「暮らしの中の旅日記 お手入れ編」後編

                        

CALEND-OKINAWAにて連載 「暮らしの中の旅日記」
28日掲載文の後編

ー普段使いの木と漆のうつわのお手入れ法

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

おはようございます。
昨晩遅くにアップしたカレンド沖縄の記事が、長くなりそうだったので、後編はこちらのブログに掲載することになりました。
前編はこちら。
http://calend-okinawa.com/interior/shoka/ayu33.html

とてもおいしかった、パンケーキをいただいた一日の記憶。
本題のお手入れまでたどり着けなかった位、楽しいひとときでした。

CALENDO-OKINAWAには沖縄の素敵な情報と人物の記事が集まっています。
とても素敵なウエブマガジンなので、是非読んでみてくださいね。

Shoka:は毎週木曜日に連載をアップしています。

さて本題。

うちの麻子さんが、見つめている先も気になりますが、お手入れ方法へ参りましょう。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

おいしいパンケーキを食べ終わったら、今度は洗いものという労働が待っています。
が、幸せな気持ちが続いているので、洗いものだって楽しいものです。

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うちは、このアクリルの編み物で殆どの食器を洗っています。
軽い油位は、洗剤を使わなくても充分落とすことが出来ます。

銀彩のうつわは陶器ですが、こうやってジャブジャブ。

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今回はバターがたっぷりだったので、「松の力」という自然系のすばらしい洗剤を10倍に薄めて使用。
ナチュラルなので、手も全く荒れません。
洗浄力もとてもいいのです。

沖縄なら、「米屋松倉」さんと、やんばるの「カタチ」さんで買うことが出来ます。
強い合成洗剤は安いのですが、手にも、環境にも、そして実はうつわにもあまりよくありません。
木のオイル仕上げのうつわの中に吸い込まれて、ぱさぱさにしてしまったり、きつい匂いが移ったり、漆なんかは洗剤が原因の色焼けなども起こることがあるそうです。

ナチュラル系のやさしい洗剤や中性洗剤をお勧めします。

さて、木のうつわやカトラリーたち。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編暮らしの中の旅日記 お手入れ編

泡が少ないのが分かりますか?
こちらはそんなに油物を使っていなかったので、ほとんど洗剤をつけずに布だけで洗っています。

 

木はうつわ自体にオイルが充分に入っていたら、油物をのせても染みになることはありません。
普段からたまにオイルで磨いてあげると、木肌が適度な油分を保っているので見た目もうつくしく、汚れをはねつける力も保てます。
後で、オイルを使ったお手入れもご紹介しますね。

柔らかい布でやさしく洗ってすすぎます。
もちろん柔らかいスポンジでも大丈夫。

付け置き洗いは木や漆のうつわにはいけませんよ、ご注意を。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編暮らしの中の旅日記 お手入れ編

こちらは赤木明登さんの普段使い用のうつわたち。
こちらも、柔らかいスポンジや布でやさしく洗います。
綿やアクリルの布だけで洗っても、実は結構油分は落ちるんです。
こちらは洗剤をほとんどつけずに洗っています。

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そして、洗った後の陶器や木のうつわをいれるのに、竹のかごはすごくおすすめです。
長いことステンレス製のものを使っていましたが、ステンレス網目の固さに陶器が負けて、欠けの一因になっていることを発見した後に、麻子さんに勧めてもらい私もこちらのかごを購入しました。

生活雑貨を扱っているお店に置いてあることがあります。
麻子さんは、那覇の楽しい生活雑貨のお店「ミトネ」さんで購入。
私は探しまわって、松本に行った時に購入しました。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

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洗い終わったら、かごから取り出して綿や麻布で水気を拭き取ります。
そして乾かしてから、食器棚へ。
竹のかごも、布で水気を拭いてからこうやって裏返しておいて乾かします。

沖縄は湿気が高いので、こうやって拭いて乾かしてもカビがつくこともある位。
たまにたわしで洗って天日に干したりもします。

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こうした日常の雑務や労働は、面倒くさいと思うと億劫ですが、イベントだと思ったり、「あ〜私徳をつんでいるわ〜」と、徳積みゲームというものに参加しているんだと考えるようにしています。
そうすると、何だか楽しい気持ちになるものです。

友人や家族とおしゃべりしながら家事をすると、楽しくってあっという間に終わっちゃいます。

さあ!いよいよオイルを使ってのお手入れ方法です。

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オイルは大きく分けると乾性油と不乾性油の二種類に分けられます。
木の食器には乾湿性のオイルを使うのがいいと言われています。

以下はウイキペディアの「乾性油」からの抜粋です。
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乾性油
空気中で完全に固まる油であり、ヨウ素価は130以上。亜麻仁油・桐油・芥子油・紫蘇油・胡桃油・荏油・紅花油・向日葵油など。
半乾性油
空気中で反応して流動性は低下するが、完全には固まらない。ヨウ素価は130から100程度。コーン油・綿実油・胡麻油など。
不乾性油
空気中で固まらない。ヨウ素価は100以下。オリーブ油・扁桃油・落花生油・椰子油・椿油・菜種油など。

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乾性油の中で、手に入りやすく比較的廉価な紅花油をうちでは使っています。
いちばんいいのは、荏胡麻油だといわれていますが、高価で入手はお取り寄せになります。

またオリーブオイル等の不乾性油も使えるのですが、なかなか乾かないので手や服につかないようにご注意を。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

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木肌には流れがあります。
布で拭く時に感じる軽い摩擦で感じることが出来ますが、木が成長する時に上へ向かって伸びてゆくので、伸びてゆく方向へはスムーズに拭くことが出来ます。
反対方向へ拭くと、摩擦が起こって木地に布の繊維が付着します。
なので、手先で触って滑らかに進む方向へオイルを浸した布でやさしく拭いてゆきます。

フォークは隙間に布を入れ込んで、オイルを染み込ませてゆきます。

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オイルを小皿に入れて、時折足しながら丁寧に磨いてあげます。

こういった単純作業は、私にはとても癒しになる時間です。
こんなことをやっていると、何だか自分にまで栄養をあげているような気分になるものです。
丁寧に持っているものの面倒をみることは、自分を丁寧に扱っているような満足感がついてきます。

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左 塗る前のカトラリー
右 左はオイルで拭いたもの。右はまだ。

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オイルを充分に吸って、肌がつややかになったうつわたち。
こちらは、皆川明さんデザインで三谷龍二さんが製作した、キノコのプレートと、ちょうちょの羽のプレート。
山桜で出来ています。

つやつやになって、生活の楽しい時間も木肌を染みてゆきます。

左のお箸やフォークはオイルを塗ったもの。
左は順番待ちのもの。
元々の色の違いはあるけれど、艶はやっぱり違います。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

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せっせと無心にうつわを磨く麻子さんのもとへ、誰かが尋ねて来たようです。

あらら!あなたも磨いて欲しいのね。

この子は、我が家のアイドルウオンバットの木彫り君。
オーストラリアのケアンズから車で半日ほど行ったアーティスト村で、田原が一目惚れして連れ帰って来たものです。
目の詰まった木を彫って出来ているので、かなりずっしりと重いです。
旅の始まりに出会ってしまったので、それはそれは脱臼しそうな重さでした。

なんてかわいい丸い身体に、まんまるのお目目。
私は一生この子を手放しませんよ。

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オイルを塗ってもらって嬉しそうなウオンバット君と、うつわたち。
活き活ききらきらとしています。

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

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そしたらあれれ?
ウオンバットの家族が、姿の変わってしまったウオンバット君が遠くへいっちゃいそうで、心配で見に来たのでした。
のんびりやのウオンバット君に限って、かっこ良くなったからってみんなを鼻であしらうなんてことはありませんでした。

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麻子さんにやさしく拭いてもらって、みんな上機嫌。
麻子さんも、もう何だか嬉しくって、家事が遊びへと変わってゆきます。

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みんな良かったね。
今日のお天気みたいに、心も、うつわも、ウオンバットたちもぴかぴか。

 

暮らしの中の旅日記 お手入れ編

 

最後に余ったオイルで椅子を磨いて、今日のお手入れは終了です。
ウオンバットたちも、楽しそうに見守っています。

日常の暮らしの中の楽しさは、普通の時間の中にこそ。
日常を特別に変えるのは、私たちの気持ち次第。

みなさん楽しい一日を。

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