今朝はこのことを書かなくちゃ部屋を出ていけないな。
カレンド沖縄の記事用に取っておいた写真だけれど、どうしても書きたくなって抑えきれない雨の朝。
黄色いウールのストールは今年の9月末に手元に置いておきたくて購入しました。
ヨーガン レールさんが刺繍されていたから。
見ていると、庭仕事をせっせとやっていた姿や思い出がよみがえってくる。
ある日、ヨーガンレールさんの庭づくりを手伝った。
雑草を抜いていたら、
「ほとんどの人は、何を残して、何を抜いたらいいのか全くわかってないよ」
強い口調でそう言って、じっと私の目を見るレールさん。
「このヒトにはこんなに可愛い花が咲くのに。この醜いものたちを抜いて欲しいだのに。あの人たちはそこらじゅうのものを全部抜いてしまうよ。そっこらじゅうが丸裸になるよ!」
怒っているレールさんは、感情を込めて言い放った。あの人たちというのは、農園で働いているおじさまたちのこと。
・・・・・自分の好みだね、レールさん。それ、レールさんにしかわからないね。
心の中でそう呟く。
きっと、農園で働いているおじさまがたはその微妙なレールさんの好みがわからないんだろうな。頭の中でそういうことを考えながら、
「ほんとだ、こんなに小さいのに、可愛い花をいっぱいつけているね」
白い小さな花たちを見て、今度は言葉にして呟く。その小さな花たちをそっと撫でる。そのあとは、すっと静けさが戻ってくる。
「あなたがずっと前に持ってきてくれたあの子に花が咲いたよ。あなた白い花だと言ってましたけれど、赤でした」
・・・・・あら、そうだったかしら?失敗しちゃったの?私。
それは言葉にしないで、残念そうな表情をして私は笑う。レールさんは白い花を当時集めていたのだった。
「大丈夫よ。可愛い花でしたから」レールさんはそう言うと、楽しそうに少し恥ずかしそうに笑った。
その時に言葉に出したことと、出さなかったこと、レールさんの表情と声音、島の植物の緑の香り。その全てがこの刺繍に重なる。レールさんとの思い出は、綺麗で、美しくて、お互いのいろんな感情がそこに息づいていて、いつもちょっとだけ笑える。だから思い出すととても切なくなる。
私はこのストールを大切にするだろう。