貫入(かんにゅう)と、ひびの違い

                        

 

みなさんは貫入はお好きですか?
私は個人的に柔らかい白地に貫入が入っている陶器が大好きです。

ただ貫入のことを知らないと「ひびが入っている!」とびっくりしてしまうかもしれません。
なので、ブログに「お手入れ」のコーナーをもうけて、焼き物や布のお手入れについての情報を書き込むコーナーを作りましたので、どうぞ参考にされてください。

 

「貫入」とは?

貫入は釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉のひび模様のことで、割れる時のひびや傷とは異なります。

通常の陶器は、素地の上に釉薬を施釉してから、釉薬の種類により違いますが1200度から1300度という高温で焼かれます。

その際釉薬は溶けてガラスのような層となって陶器の上を覆います。
焼かれた後に陶器自体の温度が下がっていきますが、その時の収縮度が陶器本体の素地と釉薬との間で違うので、この差が大きいと釉薬がひびのような状態になって固まります。

これを貫入といいます。
冷ましている時に「ピンピン」と音を立てて貫入が入るそうですが、その音がとても美しいそうです。

 

 

「お手入れ法」
個人差はありますが、貫入が好きな人にとっては、この模様の入り方や使っているうちに変化してくる様子がたまらないといいます。

 

まず焼き物を買って来たら、一晩水につけ込みます。
そうすると、茶渋やコーヒー等の色素が乾ききった焼き物の貫入部分に入り込んで一気に染め上げる、という事が回避されます。
その後使いおろして、半年くらいは使う前にさっとゆすいで濡らした後ふいて使うと、貫入が少しずつ染まって行って、ゆっくりといい感じの色に染まってゆきます。

日常的に使ってゆくうちに変化する貫入の模様を「景色を育てる」という心で使ってゆくと、ひときわ愛着のあるものに育ってゆくものです。

 

作家さんによっては、最初から貫入の色を濃くするためにドングリの渋皮を陶器と一緒に漬け込む人や、墨につけて貫入を染める人もいます。

 

もし、最初の雰囲気が好きで、着色を避けたい場合は使用前にお米のとぎ汁で煮沸するとよいと言われています。
この方法は、陶器の強度も増すといわれていますので、興味のある方はどうぞお試し下さい。

 


私自身はといいますと、とぎ汁での煮沸は試した事がないですが、水に浸けてから使っています。
なかなかいい感じで貫入も染まって来て、どれもこれも大切にしたい気持ちも一緒にしみています。

写真は、金継ぎ入りの椀。
お気に入りです。

Shoka:で購入されたもので、お手入れ法や色々何か質問がありましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。

カテゴリー: rugü essay, お手入れ タグ: , , , パーマリンク

→ ブログの記事を一覧で見る