塗師 赤木明登 うるしのうつわ

                        

 

6年前に赤木明登さんの企画展を初めてした時に、黒塗りの漆のうつわを何枚か購入した。

それまでは陶器ばかりを主に使っていて、漆は「扱いにくいもの」という認識があったので、初めて気に入って買った漆器だった。

 

 

使ってみると軽くて手にすっと馴染み、ぬくもりがあり、料理が美味しそうに映えるので気に入ってほぼ毎日使うようになった。
自分でも意外な漆の使い勝手の良さに驚いた。

 

 

 

 

 

漆の肌はなめらかで、料理が艶かしく見えてくる。
何だか色気を感じるほどだ。

 

このうつわがそのうつわ。
6年間毎日にように使っていて、肌が焼けて来たので赤木さんの工房へ送って塗り直しをしてもらった。

欠けていても、割れても、塗りが焼けたりしても、ちゃんと直してくれるという。

私のうつわもまるで新品の様に蘇って帰って来た。

 

 

 

 

この無償で修理塗り直しをしてくれるという赤木さんの姿勢は、次世代へ受け継がれてゆく事に関して無頓着だった私の認識を大きく変えた。

 

漆の行程は複雑で、木地の制作から始まって、塗りの段階では一度塗って乾かし、表面を研ぐ、そしてまた塗る、を何度も繰り返すのだそう。
もうほとんど数えきれないほど。

 

そして漆は木の強い保護膜となるため、漆器の寿命は私たちよりずっと長い。
中には9000年前の遺跡から発掘された漆器もあるほどだ。
その時間の流れと、自分のとを比較してくらくら。

 

 

そんなことを思いながら、けれどそんな事よりも、今手の中にある漆の美しさに惹き込まれる。

 

料理を載せた時になんでこんなに美味しそうになるのだろう・・・
日常の中に「循環してゆく感覚と、今」を感じさせてくれる漆のうつわ。
是非普段使いとして使ってみてください。

 

 

塗師 赤木明登展
「うるしのうつわ」

 

3月3日(土)〜11日(日)
12:30〜19:00

 

 

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