小野さんのお話会は、ものが大好きで自分の目線で選んだものを紹介するのがライフワークだと言い切る彼の情熱と、茶目っ気がたっぷり詰まった時間でした。
楽しくて 30年の間に10万枚以上のガベを見てきた小野さんの選んだガベたちもクスクスと笑っているような時間でした。
ガベの人気に乗じて、最近ではインド・中国・トルコでもガベが作られているそう。それらは工業紬の糸を使い、化学染料を使ったものがほとんどだとか。
イランの遊牧民が彼らの生活の中で培ってきた色使いや、柄には先祖代々からの魂がこもっていると思います。
まあ、それでも自分の好きなものが一番かもしれません。
でも私はやっぱり一枚を織るのに何ヶ月、時には一枚という時間をかけて、彼らの暮らしのいきがかかったものの方がストーリーがあっていいな、と感じるのです。
揺らぎや歪み、鼻歌交じりの時間。
砂漠地帯の赤く染まった大地や空。雨季に現れる植物の緑や青い水色。
花屋鳥たち。そんな自然を賛美するようなガベの魅力が暮らしの中に楽しさを運んでくれると感じるのです。