「高名なアーティストの作品の美しさと、名もない職人の作った工芸品の美しさ。僕はそのどちらが美しいかというのは比べられないものだと思っています。使う人の胸が高鳴り、好きになるもの。その人が美しいと思うものがその人の選ぶべきものだと思うんです。だから好きだと惹かれるものを持ったらええんじゃ」
「ガベはええもんじゃあ。デザイン画もなくて、織り手の頭と心の赴くままに手が動いて柄が出来ていくんじゃ。楽しいもんじゃろ」
小野さんの言葉がしっくり来るOld Gabbeh。
「僕と同じ歳じゃ、いい味出しているじゃろ」
草木染めの色合いがいい具合に枯れてきて、まるで印象派の描く絵のように優しい。
Old Gabbehは現代のものよりも毛がふんわりと織られていて柔らかく、足で踏むとふかふかしていて気持ちがいい。
飽きがこなくて、何度も巣の色合いや温もりにはっとするだろう。そんなガベだと思う。とても好きな一枚だ。