パリで出会ったものたちの中でもとても印象に残っていて感動したのがこの一枚の挿絵。
敷居の高いコレクターのムッシュのお店で、えいやっと勇気を出してやりとりをして大きなカントを開いて、たくさんの挿絵を見せてもらった。2時間近くかけて様々なジャンルの挿絵を見た中でこの古句て大きな版画に惹かれた。
ムッシュは目を輝かせて、「君はとても運がいい。これは状態もよくて素晴らしいものだ。ナポレオンのエジプト遠征の時にまとめた本の一ページだよ」と。
1798年、ナポレオンがエジプトへ遠征に行った時に彼は150人の学術調査団を連れて行った。そしてエジプトの古代の遺跡・動植物・地質・チリ・生活用具や服装・音楽や楽器・風習に至るまで事細かに調査し記録した。そして14年かけて400人の版画誌にその記録を起こして「エジプト誌」を刊行したのだ。大型本全24巻894葉にも及ぶ博物誌だ。
その中でも「博物誌- Description de’l’Egypte 」の中の鉱物の版画の評価はとても高いそうだ。
その時この絵を見つめながら、私はものすごい時間の流れの中に自分が存在していることが不思議な感覚となって、押し寄せてきたのを覚えている。
白黒だからこそ、深みを感じる。実際のものを忠実に再現している職人の仕事というのがまたいい。大自然と膨大な時間が作った自然の中の芸術が際立つからだ。
これを手放すのは実に惜しい。が、私は好きなものや感動したものを誰かに見せたりそのストーリーをシェアするのに喜びを感じる人間だ。だからこそ今の仕事が天職だと思っている。秘蔵にせずにShoka:に並べてたくさんの人に見て欲しい。
店に出すからには、ちゃんと値段をつけなさいと師匠の一人から言われ最もだと思いそうすることを肝に命じている。
これを家の中のどこかに飾れる人は非常に幸運だと思います。
以下にナポレオンが刊行を命じた「エジプト誌 Description de’l’Egypte 」についてのリンクを貼ります。