習慣の違い

                        

田原あゆみ エッセイ

 

人々が生き交う活気のあるアリーグルの市場。

立派に開いたバラたちが誇らしげに咲き誇っているのは、ある露天の台の上。花を横積みにする習慣が無いのに、その時はバラの色が大人っぽいこと、結構開ききったものが並んでいることに新鮮さを感じた。

今、時間が経って写真を眺めていると、おいおい横積みになっているけどいいのかしら?

お花が潰れるんじゃ無いかしら?

実際下の方は潰れちゃっているよ・・・

そんなことが気になるといえば気になる。

そんな細かなことは、「習慣の違いね」とサラッと流して、あの時に肌が感じた市場の活気と立ち込めている香りを思い出す。

冬の濡れた冷たい空気の臭いと、そこに広がるバラの香り。

あ、習慣の違いだな、というボタンを押すと結構いろんなことが気にならなくなって、感覚で感じていることに集中できる。

大体が頭にストックされている記憶が「気になる」を作っているのだから。

感覚は「今」に集中する入り口だ。

ほら、この香り、立ち込めてきませんか?

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