たまにおおっというような出会いがある。
この椅子は主人がいるので、買うことはできないけれど目の中にハートが浮かんでしまった。使い込まれた木の感じや、艶、それが凛々しいライオンの姿に収まっている。
この椅子の主人は、この椅子にふさわしい。愛想笑いをしないし、フランスの政治をいろんな視点から見て私に英語で解説してくれた。
私が心と違うレスポンスを返したら、バサっと切られてしまいそうな、いや、私が恥ずかしくなって縮んでしまいそうなそんな威厳を感じさせる人だ。
けれど、彼の奥さんはずば抜けて明るく知的で、パワフルで、彼女が来た途端その主人は拗ねた子供のようになってしまった。
うんうん、この椅子に彫り込まれたのこライオンの凜とした中に、ユーモアが潜んでいて、なんだか憎めないような可愛らしさを感じるのは主人の魂が宿っているからだろう。
凛々しさの裏側にある可愛らしさは人をチャーミングにしてくれる。