哲平さんのうつわへは、考えるよりも前に手が伸びてしまう。
触ってみたくなる。
窯に置いた場所によって陶器の肌の色や質感が全く違ってくる。
溶けて柔らかく色が絡み合ったような世界に見入ってしまう。
ほら、ね。
手のひらで包んで、感触を味わってみたくなりませんか?
ほうじ茶、茎茶、野草茶、時にはコーヒーをこのうつわでは飲んでいます。
両手で包んで、手のひらでも温もりと肌の感触を味わいながら。
小野家で一番人気があるという唐津の大皿を水盤にして。
唐津のマットな渋い肌が、中に入れるものを浮き上がらせてくれる。
手で触ったときの感触は少しざらっとしていて、土の感触がひんやりと手に伝わってくる。ひんやりとしているのに、温もりがある。
お話会の時に印象に残った言葉の一つ。
「社会に対する違和感を、反旗を翻すのではなくて包み込むことで、大切なことがあるんじゃないの、ということをうつわをつくることを通して表現している」
ということ。
美術と芸術は、生活道具の世界からは除外されていたのだけれど、哲平さんの生活のうつわは、美術手帳の表紙を飾ったのだそうです。
一度是非、小野哲平さんのうつわに触れにいらして下さいね。
3月9日(日)まで開催です。