お昼の準備ができると、どっと人が押し寄せる2015秋のコレクションヨーガンレールの社員食堂。
この日私は普段食べない朝食をホテルで頂いてしまって、まさかの満腹状態。何度もスタッフの麻紀ちゃんに「ね、私たちってまだお腹がいっぱいよね?でもちょっとだけなら入るわよね?」と問いかけ、その度に「あゆみさんお腹がいっぱいでまだ入りません」との返答。体は納得、しかし欲望は不満足なまま、執拗に写真だけ撮り続ける私。
「見てこの筍!あら、これはウドだ!春だね〜」と、言いながら、みんながうれしそうにお昼ゴハンをよそうのをじっと追いかける。
ちらし寿司の上には山椒の葉。玄米たちが一粒一粒うれしそうに輝いているのを横目で見ながら、お腹の中に隙間を探す・・・
とうとう美味しそうに揚げ上がった春の山菜を一つ二つと摘んで、口に運んでしまってお行儀が悪いけれど、その罪の意識も春の山菜が解毒。
後ろ髪と胃袋の残像を社員食堂に残しながら、私たちは花冷えの表参道に向かったのでした。あのお昼ご飯を頂くことができた皆さん、美味しかったですか?ですよね・・・
冷たい雨に濡れた葉の上にピンク色の桜の花びらたちが散らばって、私の後悔でいっぱいの胃袋から、心へと血液も戻ってきました。
なんて綺麗な色でしょうか。
ソメイヨシノの満開には間に合わなかったけれど、しだれ桜の満開が優しく迎えてくれました。何度もあのちらし寿司の味を想像しながら、空想の箸で宙にもぐもぐと描きながら、私たちは一路麻布のユーモレスクへと向かったのでした。