西荻窪はとても懐かしい街。
東京に住んでいた頃、この街に住む美しくて魅力的な友人を訪ねて通ったことがあり、当時からどこか懐かしい生活感と文化の香りが満ちているところは今も変わらず。
11月にShoka:で企画展予定の木彫作家のクロヌマタカトシさんが、丁度西荻窪のギャラリーみずのそらさんで展示をしているというので行ってまいりました。
プラスティックの概念が変わってしまうような表現をされているナカオタカシさんと2人の作品が展示された空間は澄んでいて、訪ねてから2日が過ぎた今日でも細部まで目の奥から蘇ってまた見ることができるような感覚があります。静かに水に浸されてゆくような空気。
クロヌマタカトシさんの彫る動物の彫刻に心奪われたことから始まったご縁。
今回彼が取り組んだこのチェスがとても美しく何度も見入ってしまいました。
ただお互いに打ち負かす戦いをチェス盤で繰り広げることを辞めて、彼独特の世界観が映されているのです。
それは、自然界の食物連鎖。
イエローストーン国立公園では、枯れてしまった川や、増えすぎてしまった鹿たちが食べてしまい木が枯れて自然環境が崩れ山が駄目になりそうになったとき、それを蘇らせるためにだいぶ前に人間が駆逐してその地で絶滅したオオカミの群れを放したのです。
その試みは成功し、小川が戻り、緑はまだ青々と広がっていったのです。
このことはインターネット上にもたくさん記事が出ているので、興味のある方は是非検索してみてください。
私たちは自然から多くのことを学ぶことができます。クロヌマタカトシさんのこの食物連鎖を映したチェスは、とても詩的で哲学的で、そして私たち人間は食物連鎖の頂点に立っているというよりも、たくさんの命に支えられた存在であり、私たちの考えや行動がこの素晴らしい自然の営みに大きな影響を与えてしまうことを思い出すことでしょう。謙虚にならざるをえません。
7月10日まで展示されています。
東京近郊に住んでいる方は是非時間を作って見に行く価値があると思います。
今日も良い1日を。