いよいよ始まります。一人でも多くの方に見ていただきたい木彫作家クロヌマタカトシ氏の世界観。私は4年前に出会って、その深い世界と、愛おしくなる動物たちの姿に感銘を受け、虜です。時間を作って是非。そして巻末に案内しているお話会へ是非心と足を運んでください。
クロヌマタカトシ展 『環』
2016年11月18日(金)〜27日(日)
会期中無休
平成27年5月月。クロヌマタカトシ氏が、パリで個展を開いた時に訪れたラスコー洞窟の壁画展。そこに描かれたバイソンの姿を観て、氏は木彫を通して彼が触れたかった世界がそこには描かれていると感じた。動物も人も自然の一部として力強く結びついている世界。そこでは死と誕生が一つに結びつき、完全な循環が成り立っているラスコーの壁画を描いた原始の人々は、きっと根源的な感覚でそのことを感じ、その象徴としてバイソンを描いたのではでなかろうか、と。
私は4年前の5月に開催された松本クラフトフェアで、初めてクロヌマさんの作品に触れ、感激した一人です。私も自然の力強さとそこへのつながりを日々の生活の中に求めていたからでしょう。彼が目を凝らし、耳を傾けて聴いてきた木の中に秘められた音楽や物語。それが私にも聴こえてくるような気がしたものです。それは目を開かれるような体験として、私の中にいまも刻まれています。
その時には囁くように、詩を朗読するように感じられた初々しい作品たち。ここ最近は輪郭が力強く際立ってきたように感じます。言葉を超えた存在感を放つものもあり、私は時間を忘れて見入ってしまいます。彼が木彫を通してつながっている完全な循環世界(自然の調和)とのパイプはきっと太く力強く育っているのでしょう。
木彫の作品は非日常的だと感じる人も多いかもしれません。けれど、生命を宿したものたちには音楽のように私たちの生活を潤し、日常を特別な時間へと導いてくれる力があると信じてます。氏の世界に触れその感覚を感じていただけましたら幸いです。