「うりずんの色」カレンド沖縄に寄稿しました。

                        

カレンド

こんにちは。

辻和美+factory zoomer「urizom」が始まり、多くの方にお越しいただきほんとうに嬉しい毎日です。ほんとうにありがとうございます。

先日カレンド沖縄に寄稿しました。

こちらもぜひ、ご覧になってくださいね。

「うりずんの色」

そして、以前にオーナー田原に同行させてもらい辻和美さんの工房へ訪れたことは、わたしにとっても楽しく特別な時間となりました。

先日カレンド沖縄で田原が辻さんの工房を訪れた時のことを書いているのですが(「辻和美 + factory zoomer 形と空気」、同行した時の楽しかったことがたまらなく思い出されて、やはり感じたことをお伝えしたいなと思いました。

ぜひ、わたしの探訪記も読んでいただけたら嬉しいです(^^)

桑田

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「ガラスの見る景色」

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春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ。

2017年の秋 夕暮れの美しい頃。

オーナー田原とともに辻和美さんの工房を訪れた。

ちょうどいい季節の金沢は、空気が澄んで空が広い。

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だんだんと群青色に変わる空と、目の前には葡萄畑が広がっていた。

長閑な風が吹き抜けるように気持ちのいいこの場所で、辻さんはガラスを吹いている。

大きな窓越しの製作風景は外の長閑な景色とは一味違う、人と窯の熱量を感じる景色だ。

辻さんは凛とした佇まいで窯の前に立ち、こちらも思わず背筋が伸びる。

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ガラスを成形するための温度は1100℃、想像もつかないような熱さでごうごうと火がともっている。

高い熱を持ったものと対峙するということは、気力も体力もたくさん必要で命がけだ。

毎日の暮らしの中で、ひとつのことを続けていくこともとても難しいことなのに、日々それを続けている辻さんの熱量の源はいったいどこにあるんだろうと思う。

吹いて、試して、それを何度も淡々と繰り返していく。

試作を幾度となく重ねて悩ましい時間も、辻さんは生き生きと楽しそうだ。

うまくいかないなあ、なんて笑いながら、繰り返し繰り返し窯の前で硝子と向き合っている姿がとても美しかった。

「このニュアンスがすごく難しいんだよね。何度も作ってみるけど、納得のいく形までが難しい。」

そう話しながら、表情は軽やかで楽しそうなのがとても印象的だった。

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試作が完成したものを眺めながら、愛おしそうにそのカップをなでる辻さんの姿に胸がじんわりと温かくなる。

辻さんとオーナー田原が話していることに耳を傾けたり、時に厳しい制作風景をみていると、辻さんの明るくしなやかで楽しい人柄がみえてくる。そして辻さんの好きな音楽や好きなことやもののすべてが、辻さんの作りだす色に変わっていることがひしひしと伝わる。

熱量の源は、毎日をおもいっきり楽しむことだということを感じさせてくれた。

こうして制作を積み重ねていく姿をみれたことがとても有難く、辻さんはやはり本質的にいいものを作る人だと実感する素晴らしい時間となった。

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工房にお邪魔すると、ひっそりと目を向けてしまうのが作家さんの道具たち。

これはなにに使うんだろう、ああ、これかな、あれかな。と思い馳せる時間がとても好きだ。

(勇気を出していろいろ聞けばよかったなあなんて、いまになって思うことがたくさん)

道具の佇まいには情緒があって、なんだか生きもののように感じた。

辻さんの隣には、毎日大事にしている相棒たちで溢れている。

そのものの姿も、また愛おしい景色のひとつだった。

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こちらは工房に佇んでいた大きな365(辻さんの365日デイリーという作品)の大きなボトル。

長くこの工房で、辻さんの仕事っぷりを見守ってきたそう。

田原が一目惚れして、ぴったりとくっついて手から離れることなく南の島のShoka:にやってきた作品だ。

この仕事を始めて、時々不思議な気持ちになることがある。

いいものなのに、ずっとそこにいる子が時々いるのだ。

そして不思議なことにそういう子は、ほんとうにその子に似合う人が運命のように連れ帰ってくれる。

田原がこの大きな365を連れ帰ったとき、「もの」と縁があるってこういうことなんだろうな、と感じたのです。

こうしてご縁のあるものとみなさまが繋がっていけたら、Shoka:冥利につきます。

そして、なんて幸せなことだろうと思います。

かわいいあの子やこの子が、春爛漫で佇んでいます。

ぜひ、素敵なご縁を探しに比屋根の丘の上へいらしてくださいね。

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