手仕事のなかに流れるルーツ

                        

makuとCALICO

みなさん、こんにちは。
GWが終わり、沖縄では梅雨の気配を感じるようなしっとりとした日が続いていますね。
早いもので、Warp & Weft in OKINAWA CALICO the ART of INDIAN VILLAGE FABRICS + YAMMAも、5月12日(日)までとなります。

YAMMAの会津木綿やCALICOのカディに触れながら、本当の豊かさとは何だろうと考えさせられます。

日本の8倍以上の面積を持つインド。
みなさんもご存知のとおり、その歴史はとても長く、多くの民族や言語が存在しています。
壮大な国から生み出された手仕事は数知れず、その背景にはその土地の文化や風習、人々の豊かな営みが存在します。

そんな手仕事や伝統が無くなりつつある今、インドでは新たに伝統を掘り起こす人々が増えているようです。一度無くなりかけたものから価値を見出し、現代の伝統へと蘇らせることで、国の大きな産業にしていこうとする取り組みが進んでいます。
CALICOもその大きな活動のひとつです。

写真で持っているラバーリーのトートバッグは、その素晴らしい活動がひとつの形となったものです。

ラバリートートバッグ

インドの西部カッチ地方、そこで暮らすラバーリー族(遊牧民)の女性たちが作りだす繊細で色鮮やかな刺繍。
もともとは花嫁衣裳として作られていたものですが、近年ではその刺繍のクオリティーがどんどん高くなり、制作するのに膨大な時間を費やしてしまうため、お嫁にいく女性が減ってしまったといいます(笑)
そんな状況を見かねた長老が花嫁衣装を作ることを禁じてしまい、その美しい刺繍たちはお土産品などへ姿を変えてしまいました。

手仕事を通して自分自身のルーツを辿り、これからの未来へとつなげていく。女性たちはそうして人生に思いを馳せながら、ひと針ひと針魂を乗せて刺繍を刺していたのでしょう。
お土産品が決して悪いものではないのですが、作り手の顔が見えないまま物だけが流れてしまうことは、どこか寂しく感じてしまいます。

ラバリートートバッグ

美しい手仕事をもう一度あるべき姿に戻すべく、CALICOの小林史恵さんと現地の方々で立ち上げたのがラバーリー・プロジェクトです。
コットンの原種と言われるカーラーコットンを用いて、羊飼いの人々が生地を織り上げた後、その土地伝統のアジュラック染を施した布の残布が、女性たちの手によってアップリケや刺繍へ美しくデザインされています。

ラバリートートバッグ

それぞれの面で、刺繍のデザインを変えているところも素敵ですね。

ラバリートートバッグ

女性各々でデザインされた刺繍は、世界でひとつだけの個性あふれるバッグです。
持ち手には製作した女性の名前が。

ラバリートートバッグ

なんて読むのかな。どんな女性なんだろう。
新しい友人ができたようで、なんだか愛おしいですね。

ラバリートートバッグ

アップリケで使用している生地のスワッチを、アクセサリーのように飾り付けています。
幸運を招くお守りのようで嬉しいですね。

今ではラバーリー・プロジェクトの手を離れ、彼女たちで活動を広げているそうです。無くなりかけた伝統がまた息を吹き返し、その土地へ帰っていく。
なによりもそこで暮らす人々が、自分たちの手仕事に誇りをもって発信し続けることが素晴らしいですね。

ラバリートートバッグ

カッチ地方はパキスタン側に位置し、昔は港があったため貿易が盛んでした。そこに行き交う人々は、民族や宗教の壁を乗り越えて互いの技術を交換し合い素晴らしい布文化を育んできたのだそう。
資本主義により、手仕事の文化は大きく変化し、その背景にある美しい景色はどんどん見えなくなっていく中、CALICOの小林史恵さんが手がけるプロジェクトは、今を生きる人々が新たな伝統を築き、豊かな時代を作っていけるような枠組み作りを行なっています。目先のことだけではなく遠い未来までも見据えた素晴らしい活動は、インドの大地よりもはるかに壮大です!

こってり濃厚なブログになってしまいましたが、この機会にぜひ、インドの手仕事の世界に触れにみませんか。
YAMMAの会津木綿やリネンの素敵なお洋服もたくさん見ていただけますよ。

ラバリートートバッグ

ぜひぜひ、遊びにいらしてくださいね。
スタッフ一同お待ちしております!

Warp & Weft in OKINAWA
CALICO the ART of INDIAN VILLAGE FABRICS + YAMMA

2019/4/27 sat~5/12 sun (会期中火曜定休)

@Shoka: 12:30~18:00

お問い合わせは info@shoka-wind.com  までお名前をご記入の上メールをお願いいたします。

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