邂逅vol Ⅰ 「思い出」の記事たち

                        

Shoka:の店舗をクローズしてからあっという間に四ヶ月。

私もずいぶん休ませてもらいました。新しいことを始める前に、今までやってきたことをおさらいしたいと思うようになりました。

カレンド沖縄というWeBマガジンに連載していた記事を掘り起こして再発信して行こうと思います。過去記事ですので誤解のなきようお気をつけください。

 

2011年12月1日「minä perhonen私の中の特別に会う」

詩と、ことばと、かたちとわたし。

去年の暮れに友人の結婚式で、チーフデザイナーである皆川明さんと同席したのがきっかけで私はミナ ペルホネンを知った。

スピーチをした皆川さんの穏やかなたたずまいや、彼の話すことばが、水紋のように胸に広がっては染み込んでいった。

静かに、誠実に、ことばを紡ぎだしてゆく。

「この人は詩人なんだ」

この確信は私の中にぴたりと納まった。

ほどなくミナ ペルホネンの本を入手。

「皆川明の旅のかけら」

「ミナ ペルホネン の 織り minä perhonen 1 textile」

「ミナ ペルホネン の プリント minä perhonen 3 print」

私は常々、日常の服は自分を表す親しい友人のようなものだと感じている。
しかしその服達の市場での命は軽いし短い。
店頭に出て、半年以下で価格が半額になってしまったりする。
また流行という名の下に、あっという間に飽きられたり、タンスの隅に追いやられてしまう。

服の世界に関わって来てずっと感じていたジレンマだった。
本質的な生活につながる服とものを通して、丁寧に楽しく暮らすことを伝えたい。
その思いと現実が食い違っていたからだ。

ミナ ペルホネンは100年経った後にも、輝きと生命力を持つ継続的なブランドであることを目指している。
セールでその価値をおとしめないし、お直しも誠意を持って対応している。

そして16年経った今も、100年先を見て自分たちの仕事を「進行中」と言う。
こんな風に服づくりをしている人と会社があることに、驚き、感動した。

                            forest parade

この刺繍の形やタッチを見ていると、森と風が作る様々な音が聴こえてくるよう。

テキスタイルのタイトルを見た時に、よりいっそう心が広がったような気持ちになった。

ミナ ペルホネンのテキスタイルからは様々なメッセージが溢れてくる。
傘越しに聴こえてくる雨音と、自分のハナウタ。
雨のにおいと、帰り道の風と身体を濡らすしずくたち。
地べたの水たまりに、浮かんでは消える雨が描いた模様。

あるいは、耳を澄ますと聴こえてくる春の気配。
コーヒーを入れる音。
晴れた日の、外を眺めながらの仕事とインクのにじみ。

そしてその世界には、自然からの便りに耳を澄ましている様な暮らしからの視点がある。
人の暮らしとその営みと、自然が楽しくまじり合っているような世界だ。

そんな景色と空気で溢れているテキスタイルの服を着ることが出来るのはしあわせだな、と感じる。

服を着る「わたし」、
生活の道具をつかう「わたし」、
暮らしている「わたし」、
その「わたし」と暮らしは、自然から祝福を受けている。

そんな、普段のしあわせをそっと包むような服と暮らしの道具達。
新しいけれど懐かしいもの達。

日常を生きている「わたし」の特別に、会いにいらしてください。

2011年12月16日(金)~25日(日)
Shoka:
12:30~19:00

ミナ ペルホネンの
大人服・子ども服・雑貨

minä perhonen
http://www.mina-perhonen.jp

 

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