道しるべ

ヨーガンレール

彼はとても魅力的な人だった。

誰の前でも態度を変えず、正直で、ドキッとするような事も言ってのける。

天才的な目利きで、彼と一緒にいると景色が変わるような体験を何度も味わった。チャーミングで、わがままで、生産力に溢れた彼の生きる姿勢には目を見張るものがあり、彼の人生は常に人の期待を上回るものを作り出すパワフルな力が満ちていた。うつくしいものを知っていて、服の中に自然の美を写し、自然の色を表現し、ヨーガン レールというブランドを通して私たちと、彼のギフトである美意識と気高さを分かち合ってくれた。

そして彼は、ものをつくることの限界を知る謙虚さも兼ね備えている人だった。自然のうつくしさにはかなわない、と。

自分自身を迷い無く生きる人間として心から敬愛して止まない彼が旅立って、私は今道しるべを失った事を、ひしひしと実感している。

23日に不慮の事故で、先に旅立ってしまってから、空を見ても、海を見ても、植物の緑色を見ていても、彼の事を思い出し、さみしくてたまらない。

ヨーガンレール

いつも私の前を遠慮なくぐんぐん歩く人だった。

出会ってからずっと彼に追いつくようにと、自分を磨いてきたような気がする。こんな人に巡り会えて、少しでもそばに居れた私は幸運だ。彼からいただいたものは膨大で、まだまだ計り知れない。

それをちゃんと社会に差し出して生きる事、それが私の彼への恩返し。私が旅立つ時に、思いっきりの笑顔で再会できるよう、私はこの人生を大切に生きよう。

 

ヨーガンレール

松屋銀座では目利き展を開催していたそうで、そこにはレールさんのコレクションもでていました。

彼の天才的な目利き力、そのコレクションにたくさんの方が訪れた事だろうと思います。与那国島の小さな貝殻のコレクションは一緒に拾ったものなので、私も思い出に欲しいものでした。

そして是非、彼自身が編集し投稿していたババグーリブログを覗いてみて下さい。

そこに掲載されている写真はレールさんが自分で撮った物です。旅の写真やいろいろ、彼の世界観に触れてみて下さい。

なお、ヨーガン レールさんの意志を継ぎ、ヨーガン レール本社の皆さんは一体となって今後もいい物作りをしてゆく決意を固めています。私も心から応援しています。

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遠心力

赤木明登

ずっと黒い漆器の色を好んで使ってきた。

今回の新しい奥羽シリーズのこの赤にとても惹かれる。

深い赤。濃すぎず、軽すぎず。

血潮を感じさせるけれども、品がいい。

いろいろな料理を、温かく受け入れてくれそうな温もりもある。

見ていると吸い込まれて、そして器からも何かが還ってくる。そんな不思議な味わいがある。

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赤木明登 漆展

赤木明登

百日膳

いよいよ今日から赤木明登さんの漆展が始まります。

しっとりとした漆の肌、艶と光。

 

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企画展を開催する時に愉しみなのは、最終的に自分が何に惹かれるのか、という事。

最初に目を引く物と、後からじわじわと良さが滲み出てくる物がある。

全く気になっていなかった物が、思いがけず魅力を発揮して手元に残る事は多々ある。

10日間かけて、しっかり漆器を味わいたいと思います。

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奥羽の赤

赤木明登

この漆器の持つ力は一体なんなのでしょうか。

静かな吸引力を感じています。

言葉が見つかりません。

赤木明登さんの漆展は、いよいよ明日から。

私は今から心を清めるため、みそぎにいってきます。

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柔らかい輝き

赤木明登

輪島から届いた赤木明登さんの漆器たち。

2012年の3月にShoka:で初めての赤木さんの個展を開催した時の事を思い出しながら、ひとつひとつの器を見つめて、どの場所に置いたらしっくりと来るのか、感覚に耳をそばだてながら展示をしています。

それにしても漆器の輝きの深さよ。

真珠の光沢に似て、しっとりと柔らかく、光の粒のひとつひとつが七色に光ってそれが集まって白く輝いている。

なんて上品で、気高い光なのだろう。

赤木明登

桃の形をした鉢に、李朝の形を写した匙。

木地匙の名前は、豆掬。

赤い器はこの次に。

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