『家の中心は背骨の部分に当たる。そこには水や火を置いてはいけない』
長嶺さん曰く、「家の真ん中にはね、背骨が通っているんだよ。背骨はね、身体の大事な中心で柱みたいなものだよ。そこには家族の健康を回復させたり、育む力がある。そこに火や、水周りを持ってきたりするとよくないよ。
免疫力を回復させる背骨を温めすぎたり、冷やしすぎたりしてはダメさあ。
あとはね、火にも水にもみんな神聖な力が宿っているんだよ。それぞれみんな持ち回りがあるからね、中心に持ってきてしまうとそれぞれの役割が打ち消されてしまうよ。
ちゃんとあるべきところに置くんだよ」
長嶺さんは優しいくけれどキッパリとそう言っていた。
中心に火も水も持ってきてはいけない。
現代の生活空間には家の中心にそのどちらかがあることはとても多いと思う。このことを知ると困惑する人も多いだろう。作られた空間だと、長嶺さんのいう間取りはほとんど見つからないのが現状。賃貸物件ではまず見つからない。
そんな時には、「できるだけ明るい部屋を借りなさい」光が差し込んで、壁紙の色が褪せてしまうくらいでも構わない、と。ほっとしませんか?
さてこの琉球風水、沖縄だけに限ったものでは無いという。長嶺さんがいうには、北半球に暮らす人全てに当てはまるとのこと。
琉球人も、アイヌの人々も、インディアンの人々もエスキモーもかつて自然とともに暮らした人々はこの知恵を自然界から学んでいてこのように暮らしていたのだ、と。
今私たちの暮らしの中で、彼のいう風水を守ることは至難の業だろう。たまたま私は縁があって出会い、当時そこにエネルギーを掛けるだけの気概があった。人生は自分が得たいと思う体験をする場。その私の実験劇場がこの家でもあった。
その空間で私は、心の平和と身体の健やかさを探求した。泣いたこともあるし、悔しいことだってたくさん経験した。けれど結果いつもそこに笑いがあった。笑って立ち上がり、仲間たちと体験と知恵を分かち合えた。乗り越えたり回避したりと苦労もあったけれど、人生の後半にやってみたいことも見つけることができた。振り返るとその場で経験したことは全て、白く光るような明るい体験だった。
つづく