2014.04.12 mon Sakata のかたち

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

shoka

東京へ行くと、どんなに時間がタイトでも坂田敏子さんに会いたくなる。
マイペースで、正直で、ユニーク。
会ってお話しすると、私はいつも小さなびっくりを体験する。

一番最初にお会いした時に、まず沖縄の形について聞かれた事は数ある魅力的な方々とのエピソードの中でも輝いている。
そのときの事は2012年の mon Sakata展 の時に書いた記事をどうぞ。
「mon Sakataが生まれる手」

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ひょうひょうとしていたり、
くくくっと笑ったり、好奇心に素直で意外性に富んだ坂田さん。
笑顔がチャーミング

まだ仕事をするのに力が入っていた当時の私は、初めて敏子さんと打ち合わせをした時にしっかりした人を印象づけようと、身構えていた。
どんな空間でどのような企画展を開催したいのか、目標金額や、数字でいくらくらいの納品をするのか、そんな話をするのだとばかり思っていたのだ。

当時私はフランチャイズのショップを経営していたので、イベントを開催するとなるととなるとまずは目標の予算を聞かれ、相手はその予算に応じて投入金額を算出する。なんだか味気が無くて好きじゃなかったけれど、感動やストーリーを語る前に、働く大人として数字をしっかりと把握する事は当たり前の事なんだと思っていた。

結局、敏子さんは一切数字の話をする事は無く、沖縄の事を独特の視点からあれこれ聞いて、「2年先なんてどうなっているのか全く分からないわね。元気で仕事ができているのかしら?
でもきっとあっという間よねぇ」と、ふふふっと笑った。

一瞬で私は肩の力が抜けて、心が軽くなった事を覚えている。
そして帰り道、私はうれしくて泣いた。
「あなたの仕事が好きです。こんなところがすばらしいのでそれを私はみんなに伝えたいのです」
それが私の仕事の軸。
そこからまっすぐに仕事ができるんだと、それがうれしくて涙が出てきたのだ。
決して数字でくくられる世界ではないのだ。
まず感動があって、そこからまっすぐに始まる道。そこに立てた気がして無性にうれしかった。

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今回お会いした時にテーブルの上に置いてあったカレンダーも、なんだか真っ白。
制作や全国に散らばっている様々なギャラリーでの企画展が月2回は入っているので、いそがしいであろう方なのに。
なんだか面白い。敏子さんはカレンダーの上に何を見つめているのだろうか?

少しずつ、少しずつ、人を知る愉しさをこの仕事を通して味わっている。

私は仕事部屋を尋ねるのが好きだ。
その人の視点や思考、知りたい事や好きなものがそこには散らばっている。
それを見ていると、自分が知ったつもりになっているその人の「未知」の方が圧倒的に大きいのだという事に気づく。
未知は、わくわくの源だ。

敏子さんの仕事場には、あちらこちらに繊維が置いてあったり、クリッピングされていたり。
手に取って眺めていたくなるような不思議な糸の固まりが、棚の上や床に置かれた籠の中、壁の上に見つける事が出来る。

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古いリネンの糸
綿糸
古くてうつくしもの
そそられるタイトルの本
強すぎない、鮮やかな色
ひなびた色

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あ、ここにも。

 

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どこかで出会って、敏子さんをとらえた繊維や素材。
敏子さんが、そこに飾る事で身近においておきたいものの中に 私はmon Sakata を探す。
言葉にはできないし、未知にこれといった大きな変化は起こらないけれど、なんだかとても楽しくなってくる。
面白いなあ、敏子さんは、そんな印象だけがどんどん深まってゆく。
限定しない方が面白い。

敏子さんは服作りを専門的な場所で学んではいない。
小さな頃にお母様がお洋服づくりが好きで、まず布を見せて「どんな服が着たい?」と聞いてから仕立ててくれたのだそう。
布や素材を見て、触って、どんな形がいいだろう?
どんな服が着たいかしら?

そこが坂田さんの服作りの原点だ。

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仕事場の隣にある小さな洗い場には、新商品よ、と敏子さんが眼を輝かせて言ったリネンコットンのパンツやスカートが洗いをかけられて吊るされていた。
じゃぶじゃぶ洗って毎日着たくなる、そんな素材感。

「まだどこにもだしていないから、今度Shoka:さんに初めてだすのよ」
と、うれしいお言葉。

パンツやスカートになる前の素材を見た時に、敏子さんが手にしたのはどんな状態の布だったのだろう?
糸だったのかもしれない。
指で触って、手のひらでさすったかもしれないし、布を鏡の前で腰の当たりにあててみて、スカートかしら?パンツかしら?どんな形がいいかしら?
そんな風に、素材のなりたい形を探したのかもしれない。

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一階の目白通り沿いにある mon Sakataのショップに並んだお洋服たち。

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どれもこれも肌に触れた時の感触が良さそうで、なで回したくなるような風合いだ。

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春夏のお洋服たちはちゃんと出来上がっていた事にもほっとしながら、小さなショップの中をぐるぐる回った。

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みんなが大好きなアームウオーマーもある。

私は東京に行くと、時間を作っては坂田さんへ会いにいく。
お食事をしたり、お酒を飲んだり、家族揃ってカラオケに行ってみたり。

何度も会っているけれど、いつも何かしら新鮮さを感じる。

それは坂田敏子さんという人が、そのまんまの視線でものを見たり感じたりしている人だからかもしれない。
とらわれないでものを見る。
そのまんまの存在を、感覚で感じてみて、形を探る。

そんな事を繰り返すうちに素になったのか、それとも最初から素に近い人だったのか。私には分からないけれど、その両方かもしれない。

坂田敏子さんの作る服は、素材感が素直に出ていて着やすい。
身体がリラックス出来る服。
そしてちゃんと、背筋は伸びるデザイン性もある事がまたまたうれしく愉しいのだ。

力を抜いて、素に帰る場所が身近にあるとうれしい。
そんな素材の服を日常着として着れることがうれしい。

坂田さんがそのまんまの目線で感じた素材が行きついた形。
偶数年の今年、沖縄で3度目の mon Sakata展がやってきます。

初めての人も数回目の人も是非、自由な発想が形になったようなその世界に触れにきて下さい。

2010年の初開催の時に買ったリネンのパンツはずいぶん履き込んで、当てまでしながら着ています。
私も新しいパンツやカットソー、着ていて楽しくなるようなのがもう少し欲しいのです。

 

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「今年こそ晴れた日の沖縄の色が見たいわ~」
心からそれを願っている敏子さん。

なぜか沖縄に来ると雨で寒い春の日に当たってしまい、晴れた日の空や海や、ハイビスカスをまだ見た事が無いのです。
私はいいお天気になる事を祈るばかり。
皆さんも是非、18日の初日が晴れるよう祈っていて下さいね。

敏子さんと、そのお洋服たちに、会えることを心から楽しみにしています。

 

 

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終了したイベントです

2年越しの  mon Sakata展 vol 3

4月18日(金)~27日(日)
素材感も、色も、形も楽しみたい!
そんな人にはmon Sakataのお洋服がぴったりです。
毎日着たくなる、コーディネートも重ね着も楽しい。
mon Sakata展は、2年に1回。待ち遠しいのです。
2014年は、楽しいことが目白押し。過去2回の沖縄での企画展が雨だったという、坂田敏子さんも今年こそは晴れた沖縄の空と、輝く海が見たくてわくわくしていることでしょう。
お待たせしました。楽しみですね。

 

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暮らしを楽しむものとこと
Shoka:

 

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2014.01.04 台南から你好!新年便り

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

Shoka

 

明けましておめでとうございます。
沖縄は暖かいお正月。
けれど私が滞在中の台南は、夏のような暑さ。
走り回った2013年を後にして、2014年の2日目の朝初めての台南へや。

 

1月2日の初日は、頭の中や自分の感覚の軸が沖縄にあったせいか、夢見心地のまま台南の無秩序な街をふらふらしとさまよっていた。
滞在先を謝宅という台南のクラッシックなスタイルでまとめた民宿にしたせいか、今日からは地に足がついた感覚で街としっくり、色々なところを闊歩した。
歩いた歩いた、朝の8時から夜の8時まで。

 

私を朝から晩まで支えてくれたtrippenよ、ありがとう!

 

 

一番目の写真は安平の古い港町の老街と呼ばれる、昔ながらの建物を残したノスタルジックな裏道。

 

 

Shoka

 

 

迷路のような街の中を歩き回っていると、古い時代のものと鉄筋コンクリートの無機質な建物が混在していて不思議な感覚になってくる。
古い建物はだいたい赤レンガと、石と、漆喰で出来ているのと、人の手で作ったせいか血の通った温もりが感じられる。けれど、その有機的な建物はどんどん少なくなっていってるのがアジアの現状。
どこにだってあるような景色が大量生産されて、こんなかわいらしい景色を飲み込んでいくのを目の当たりにするととてももったいないような気持ちがふつふつと湧いてくる。

 

ちょっと寂しいけれど、その現実も受け入れながら、タイムスリップしたようなこの老街を今日は楽しく味わおう、そう思い返してまた闊歩闊歩。

 

 

 

Shoka

 

台湾を歩いていると、赤い色が多いような気がする。
きっと縁起の良い色なのだろう。

 

昔の台南の街に思いを馳せながら歩き回った後は、水辺でゆっくりと風にあたって一休み。

 

 

Shoka

 

マングローブのトンネルの下を筏でゆっくりとくぐりながら、水鳥や小魚を眺めてリセット。
とにかく車とバイクの数が多いのが台湾。
どこを歩いていても、ひかれないように気が張るのです。
人より車が優先で、道を渡っていても誰も譲ってくれないし、それどころかひきそうになっても停まってくれません。

 

歩行者優先の国から来た私たちは、おっかなびっくり道を渡って毎瞬大冒険気分。

 

水辺の風に癒されて、今度はエネルギー補給。
台南といえば小吃!
市場や、屋台、小さな食堂、いろんなところで少しずつおいしい食事をたのしむ事が出来るのです。

 

 

Shoka

 

かりかりに揚げた魚卵の唐揚げはさくさくプチプチ。
鰆のフライのはいった麵はほんのり甘めで優しい味わい。

 

その後は、甘いもの。

 

Shoka
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小豆・タロイモ・タピオカ・白インゲン・緑豆・蓮の実をお椀に入れてもらって、その上にかき氷を載せて頂くこの甘味がおいしい事といったら!

 

これでまた歩けます。

 

台南料理は全体的に少し甘身があるのが特徴のような気がします。
しかし・・・・台北もそうだったように台南も、どこを見回しても食べ物が溢れていて、活気に満ちています。

 

 

 

Shoka

 

牡蠣の山が・・・・

 

ああ、振り向けばフルーツも。

 

Shoka

 

 

もう言葉はいりませんね。

 

Shoka

 

 

そこに食べ物があるしあわせ。
しあわせいっぱい胸いっぱい、腹一杯いただきました。

 

Shoka

 

欲望に任せて生きる、そんな日がたまにあってもいいですね。

 

 

あるいてあるいて、疲れたら、cafeだってなかなかいいところがあるのです。

 

 

 

Shoka

 

とあるcafeの店内にて。
これからどこへどうやって行くのかを、cafeでミーティングしたら、また歩いて歩いて。

 

疲れたら、木陰で休んで。
見上げると、

 

Shoka

 

台湾リスが私を見下ろしていたのでした。

 

そんな本能に任せた旅の途中。
台南2日目からの旅便り。

 

頭はお休みにして、本能と欲望と希望に耳を澄まして冒険は続きます。

 

皆さんはどんな正月を過ごしていますか?
さあ、この続きはShoka:のブログにて、明日から台北へ移動してやっぱり郊外の老街やお茶の街を歩きます。

 

 

今年もたくさんの方と楽しい時間をShoka:でともに過ごす事が出来るのを心から願いつつ。
新年あけましておめでとうございます。

 

今年もよろしくお願いします。

 

 

Shoka

 

台南の謝宅の窓から。
お休みモードの田原より。

 

 

 

 

暮らしを楽しむものとこと

 

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2014.03.22 暮らしの中の旅日記 カシミアの毛玉と着心地と

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

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私にとって humoresque (ユーモレスク)のニットは、日常着の中でも特別な位置にいます。
よく着たくなるのです。
なんといっても着心地がいい。

去年の夏はリネンのニットのお世話になり、この冬にはカシミアに包容されてぬくもりある着心地に癒されたものでした。

写真は humoresque のデザイナーの渡辺さん。
カシミアのシンプルなドレスを着ている姿がぴったりと彼女の雰囲気に似合っています。

しかししかし。
カシミア好きの皆さんはよく知っているように、糸の縒りが強いと毛玉にはなりにくいけれど、カシミア独特のやんわりと包み込むような風合いを活かした糸は撚りが甘めのものの方が断然気持ちが良い。

そしてそのような撚りの甘めの糸を編んだお洋服は、着心地がいい分毛玉が出来やすいのです。だんだんと暖かくなってきて、春がそこまで来ています。
沖縄は春の後ろに初夏が手を振っているのが見えている今日この頃。

今回の記事では、カシミアやウールの毛玉のお手入れを取り上げてみましょう。

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こちらは私が10年ほど愛用しているカシミアの大判ストール。
すごく、すごく温かくて、肌触りのいいカシミアがふんわりと身体を優しく包み込んでくれます。

けれど、これがまた毛玉になりやすいのです。

大好きなお洋服に毛玉が出来ると、気持ちは少ししょんぼりしませんか?

私は毛玉が沢山出来たニットやウールのお洋服を着て外出したとき、なんだか堂々と出来なくて、肩を丸めたくなるような気持ちになるのです。
誰かを待ちながら毛玉をどんどんむしりだしたり、毛玉やそこに絡み付いた毛やくずに日が当たって浮き上がってきたりすると、みんなにばれないかと居心地が悪くなってしまってお家に帰りたくなったこともあります。
なんともいいかっこしいな自分ではありますが、それもまた人のかわいいところですよね。

それにしても、毛玉がきれいに取り除けたらどんなにいいでしょう!

 

いろいろ方法はありますが、まずは一番身近ですぐに出来る指で毛玉をむしり取る方法。
このシンプルな方法しか昔の私は知りませんでした。

毛玉取り機なるものがあるのは知っていましたが、なんだか毛玉にそんなにお金をかける気にもなれずに、記事を読んでは電動の機械をソフトなカシミアやかわいいウールの上に這わせるのは、ちょっと強引な気がしていたのです。

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きっと誰でやってみたことがあるでしょう。
こうして、浮き上がった毛玉を指でむしり取ってゆくのです。

以前 humoresque のニットのお直しをお願いした時に、工場の人が私のニットに出来ていた毛玉を取ってきれいにして返して下さった事がありました。
そのニットの工場の人曰く、指でむしり取る方法が一番です、とのこと。

けれども、指でむしり取る度に気になっていたこと。
それは、毛玉をむしり取る時に毛玉以外の毛も引っ張られて取れてしまうこと。
大事な毛が無くなってしまわないのか?
薄くなってしまわないのか?

極端ですが、そんなことも心配です。
それから、引っ張った時に編み込まれていた毛が伸びて飛び出してくるので、それがまた摩擦を受けて次の毛玉のきっかけになるのではないだろうか?
そんな風に想像してしまって、どうも気が進みません。

なので、この日私は思い切って毛玉取りにはどの方法が一番効率がよく、自分の性質に向いているのか?
という実験をしてみたのでした。

 

shoka

去年までの私の毛玉取りの飛び道具は、T字カミソリでした。
毛玉が出来た素材の上をそっと、T字カミソリで優しくなでていくと、毛玉の丸まった部分だけが刈り取られてゆくのです。
腕のグリップはあくまでも柔らかく、力を抜いて、優しくなでてゆく。

こつは決して歯を立てたり、力を入れない事。

カミソリの歯は皮膚が切れないよう安全設計されているので、ゆっくりとですが表面に浮き出ている毛玉だけが刈り取られていきます。

刈り取られた毛玉は、まるっこくなった部分だけ。
なかなか優秀なT字カミソリ。

手でむしり取った方と、T字カミソリ刈り取った後、結果は一体どんな風に違うのでしょうか?

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手でむしり取った部分。

少し全体的に起毛した感じがします。

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T字カミソリで刈り取った後。
毛玉の上だけが刈り取られるので、風合いはとてもいい感じです。

去年まではこのやり方が一番いいな、と思っていました。

実は今回、試してみたいことがあったのです。

それは以前耳にした、スコッチのスポンジの裏がいいらしいという噂。
そうです、あの誰でも知っている食器洗いの黄色いスポンジと緑色の鍋のおこげを落とすプラスティックのガジガジのついたあれです。

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しかも、鍋洗い用のがじがじの部分がいい具合に毛玉を絡めとってくれるらしいのです。

プラスティックの細かい繊毛の間に毛玉の部分が吸い取られるように無くなってゆくので、ある人は機械を使うよりずっと機能的だ!と書き込んでいるのを、私はネット上で発見したのでした。

しかし、誰も丁寧な画像を付けて紹介している人はいないので、よし、私が実際にやってみようと決心したのです。
けれども、比較的安価なウールのニットならやりやすいものの、私のうちにある毛玉持ちはあのカシミアのストールと、humoresque のニットドレス。

おそるおそる、10年選手のこのストールにスコッチを這わせてみたのです。

さて・・・・・

 

shoka

そっとなでるように、ストールの表面をスコッチでなでてゆくと、なんだかいい感じに毛玉が取れてゆきます。
しかも早い。

これは・・・・・便利かも・・・・・。

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T字カミソリや、指での作業と比較にならないほどのスピード感に、せっかちな私はうれしくなってきました。
どんどん取れるのです。

ただし、決して力を入れて押し付けるのではなくて、表面をやさしくなでるだけ。

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取り除いた後も、結構きれいです。

 

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この日の私の作業の効率は、この毛玉の量を見ると分かります。
一番楽しく作業が進んだのは、やはり効率の良いスカッチ。
指の作業で出た毛玉の雰囲気と、スコッチの毛玉は少し似ています。
ただ、表面にかかる力の具合がコントロールしやすくて均一なので、仕上がりはスコッチの方がきれいでした。

T字カミソリは一番ゆっくり。
時間はかかりますが、きれい度は満足が高かったです。

しかししかし! スコッチの吸引力(そう言いたくなります!)を知ってしまったら、私にはこれが一番向いているような気がしたのでした。

ゆっくりと鼻歌まじりに時間をかけて、T字カミソリを使ってお手入れをする。
ゆとりがあって、とてもうつくしい風景です。憧れます・・・
その方がもしかしたら向いている人もいるのかもしれません。

牡羊座で血液型がO型の私には、結果が眼に見えて体験できるのが向いているようです。
何も星座や、血液型で推し量ることではないのかもしれませんが、何かの参考にされて下さいね。生まれ持った性質は、毛嫌いして矯正しようとすると辛いばかり。
これはどうにも変えることの出来ないことなので、楽しく受け入れて私にはこちらの方法が最適でした。

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上の写真の状態から、毛玉が取れて再びつややかな風合いが戻った私のストール。
うれしいものです。

本当に!

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来年またこのストールを身につけるのを楽しみにして、たたんでクローゼットの中にしまったのでした。

まだ肌寒い日もありますが、季節は変わって、春へ、初夏へと。

 

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お洋服の素材もウールから、コットンやリネンへと。
南の島沖縄では、リネンやコットンが一番長い期間着れる素材です。

humoresque のニットも、カシミアからリネンへと変わりました。

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humoresque  ユーモレスク
秋冬はカシミアを、春夏はリネンのニットをメインで作っているブランドです。
ドボルザーク作曲のhumoresqueという楽曲は、きっと誰もが知っているメロディ。無意識に鼻歌で歌ってしまうように、心地よく着れる日常着を作りたいと始めたと渡辺さんは言っていました。ちょうど良い糸を、ちょうど良い形で編んでみたい」という思いから作られた上質で快適な日常着。リネンのさらっとした素材は着やすくて、レギンスを下に着たり、コットンやリネンのパンツの上から着たり、わたしも日常のおしゃれ着としてずいぶん重宝しています。ユーモレスクのニットは、素材感が活きていて、いつだって着たくなる不思議な服です。ゆったりとしているようだけれどラインはすっきり。パターンがいいのでしょう。
着心地は言うまでもなく、着てみるとそのシルエットの美しさが際立ちます。

 

沖縄はリネンやコットンを着る季節になったのですが、また寒さが戻ってきてウールのソックスを履いてみたり、ストールやカーディガンを羽織ったり。
いろんな素材が混在しているうりずんの季節。

皆さんも、冬の間にお世話になったウール製品を完全にしまい込む前に、是非この毛玉取りをお試し下さいね。
やさしく、なでるように。

自分がやってもらいたいようなタッチで、大好きなお洋服をケアするのもいいかもしれません。
この春も、コレクションの発表があるので東京へ毎週のように通うことになっています。

その時にみたこと感じたことを、またカレンドの記事やShoka:のHPにて報告いたします。季節の変わり目、今しか体験できないことを楽しんで下さいね。

田原あゆみ

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終了したイベントです

次回の初夏の企画展

 

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2年越しの  mon Sakata展 vol 3

4月18日(金)~27日(日)
素材感も、色も、形も楽しみたい!
そんな人にはmon Sakataのお洋服がぴったりです。
毎日着たくなる、コーディネートも重ね着も楽しい。
mon Sakata展は、2年に1回。待ち遠しいのです。
2014年は、楽しいことが目白押し。過去2回の沖縄での企画展が雨だったという、坂田敏子さんも今年こそは晴れた沖縄の空と、輝く海が見たくてわくわくしていることでしょう。
お待たせしました。楽しみですね。

 

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2014.03.02くらすこと いきること ぼくたちのくらしから生まれた服とうつわたちvol 2「 哲平さんとうつわの話」

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

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私が小野哲平さんのうつわを初めて手にしたのは、実家に夕ご飯を食べにいった時だった。
自分のためのご飯茶碗を探していた時に、ふと手が伸びたうつわがあった。
ころんと手に収まる感じといい、柔らかな肌の具合や、厚みがふっと手に馴染む。
なんだかおいしくいただけるような気がして、そのうつわでご飯をいただいた。

去年の夏に訪れた小野家では早川ユミさんのお料理を、哲平さんのうつわで何度も何度もごちそうして頂いた。

 

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うつわ好きの人はきっと、似たような感覚を楽しんでいるのかもしれない。
うつわには使いたいうつわと、持っていたくなるうつわの二種類がある。

哲平さんのお皿や、お茶碗はまさしく使いたくなるうつわ。
家庭料理を盛った時の様子がイメージしやすいのだ。
パスタを盛っても、タイカレーやパッタイをのせても、鳥の立田揚げや鰹のたたきをのせても、ぐっとおいしそうに見える。
ほっとするうつわだ。

けれども、毎日使っていると、ふとした時にその表情の深さに惹き込まれる。
当たり前に、自然にそこにあるものの中に、ふと深遠な世界を感じてじっと見入ってしまう。
哲平さんのうつわでお茶やコーヒーを飲んだりそれを洗っている時に、はっとして手が止まることがある。

手が止まった時に、時間も一緒に止まり、そして世界全体が一緒に呼吸をしているような感覚に落ちる。

日常の中にいて、そこから解放されるような時間。
それが一体なんなのか、今はまだ言葉になってはいないけれど、哲平さんのうつわを通して私は何度かその経験をしている。

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和食も、洋食も、哲平さんのうつわの上にのると「うちのごはん」。
食べる人の細胞を作るごはんを、このうつわが毎日抱いてくれている。

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なじみのうつわ。
陶器は使い込んでいくと、どんどん表情が柔らかく豊かになってゆく。

 

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去年の夏から、毎朝コーヒーを飲んでいるカップは、貫入に色がついてきて何とも柔らかな肌になってきた。
体調をみて、時には15分間湧かした白湯を飲む時もある。
日常に欠かせないうつわの一つ。

うちにはいくつかコーヒーカップがあるが、滑らかな肌触りといい、手への収まり具合といい、口当たりといい、つい手が伸びてしまう。
なぜかな?と自問してみたら、
「だってこのカップで飲むと、おいしいんだもん」、との答えが返ってきた。
おいしさは感じるもの、だから思考ではなくて感覚の求めるものが私にとっての本物だ。

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そうそう、哲平さんのうつわの中で壷たちは、私にとっては持っていたくなるうつわ。
壷としての魅力がぎゅっと凝縮されていて、中に入れるものは後から考えればいいからとにかく欲しいなあ、と。

後から高知の番茶をどばっと容れて、壷の姿を眺めたり、時には中味をだしてお花を活けたりと、楽しんでいる。

 

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目力の人。

哲平さんと初めて会った時の印象は、ちろちろと燃える薪の火のような目力があって、ばさっとものをいう激しめの人という感じだった。
初対面なのにズバズバと切り込んできて、私は内心たじたじ。

「で、何をやりたいの?ここで」
と、言葉じり鋭く聞いてきた哲平さん。

ギャラリーとしての姿勢や、Shoka:から何を発信したいと思っているのか、私の人生で一体何がしたいのか?そんなことをたたみ掛けるように聞いてきた。

その時には、なんだかどうしても互いのタイミングが合わずに、仕事の話は一度流れてしまった。
それから一年後。
私の娘が埼玉の自由の森学園に通うことになった時に、小野家の息子さんが自由の森学園(通称自森)の卒業生ということと、私たち親もとても自森が大好きということが私たちを再び結び直してくれた。

学校の教育のことや、子供のことで私たちの距離はぐっと近づいて、私の中では知り合いから仲間のような感覚へと変化していった。

自由な校風と、子供の自律を促す教育のあり方に共感した私たちは学校の音楽祭お話や、お互いの子供たちの話で盛り上がり、すぐに今回の企画展の開催が決まった。
このとき、胸の内で感じた感動を眼をキラキラさせてうれしそうに話す哲平さんを感じて、お互いのハートがつながってゆくのを感じたのだ。

これがベストのタイミングだったのだろう。

それから私は、会話を重ねるごとに哲平さんという人を知り、その人間らしさが大好きになっていった。
人間らしさとは、光と陰のそのどちらにも素直でいる。
ネガティブな面も含めて、とことん話の出来る人との出会いはやっぱりおもしろい。

去年の7月の末に2人の暮らす高知県の谷相を訪れて、4日間で私たちはお互いを知り合い、信頼の種から芽が出て育ってゆくのを感じた。

いい仕事ができるな、私はそう感じていた。

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哲平さんの工房から窯へ行く辺りの景色。
薪が整然と並べられ、その上にかけられた布団や洗濯物が日の下でぽかぽかと乾いてゆく。
くらしと仕事が一つになった、どこか懐かしい景色。

哲平さんはお洗濯が大好きだという。
その日も天気をみながら、旅人や、弟子や、家族の洗濯物をせっせと干す。

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くらしの中には様々な雑務がある。
掃除、洗濯、料理、片付け。
小野家では、家族も、旅人もみんながそれぞれの仕事をこなす。
谷相の風で服をはためかせながら、みんながよく働き、よく動く。

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哲平さんの茶目っ気と、愛情深さに一度触れると、最初に感じた取っ付きにくさやばさっと切られそうな鋭さが一気に溶けて、人間としての小野哲平に大きな魅力を感じる人は多いだろう。

ネガティブな面とポジティブな面と、両面から人は社会へギフトを差し出すことが出来るのだと私は思っている。
小野哲平さんのことを知らない人も、知っている人も以下の経歴とその表現に触れて欲しい。

*以下のプロフィールは、小野哲平さんと早川ユミさんののHPから引用したものです*

小野哲平
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1958年 生まれ
1978年 備前にて弟子になる
1980年 沖縄・知花にて弟子になる
1982年 常滑の鯉江良二さんの弟子になる
1984年 アジアの弟子となり、タイ・ラオス・インド・ネパール・インドネシア・マレーシアを子連れで行ったり来たりの旅人
1985年 常滑の小さな山の中にて窯と仕事場をつくる
1987年 タイ・バンコクのシラパコーン美術大学にて制作+展覧会。インド放浪をして8ヶ月を過ごす
1991年 マレーシア・マラ工業大学にて制作+展覧会
1997年 タイ・ナコーンラチャシマ県のダァンクェーン村の亀の窯にて制作
1998年 高知の山のてっぺんのライステラス(棚田)の真ん中に移住。谷相の弟子となる
2001年 3年がかりで薪窯をつくり、薪窯の弟子となる

真剣な大人はやっぱりいい仕事をしているな。
私はこのプロフィールを読んで、そう感じてにたっと笑った。
ユーモアも感じて。

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祈っているように見えた、哲平さんのろくろを挽く姿。
「土に触れていないとぼくは死んでしまう。本当に土に関わることが大好きなんだ」
真剣な眼でそう言うと、その後にこっと笑って、

shoka

「昨日はどうもすみませんでした。ごめんなさい」と、子供みたいにはにかんだ。

その話はまた今度。

*小野哲平さんと早川ユミさんの関連記事は以下からどうぞ*

 

くらすこと いきること ぼくたちのくらしの中から生まれた服とうつわたち
vol 1 早川ユミさんのちくちくワークショップによせて

 

 

人から人へ手から手へ 小野哲平さんとユミさんの仕事場へ

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shoka

終了したイベントです

早川ユミ 小野哲平企画展 「くらすこと いきること ぼくたちのくらしの中から生まれる 服とうつわたち」

2014年 3月1日(土)~9日(日)

高知県の谷相という山間の小さな村で暮らす小野哲平さんと早川ユミさん。
哲平さんはふと手が伸びて使いたくなるようなうつわをつくる陶芸家を生業に、ユミさんはそのパートナーであり、旅の中で集めた布を使った日常着をちくちくと作る作家さん。大地にしっかりと立ち、様々な感覚に耳を澄まして土地とともに、仕事とともにくらしている2人の作っているうつわと服の展示会をShoka:で行います。
「くらしを楽しむものとこと」を発信しているShoka:では、哲平さんの日常のくらしの中のうつわたちと、早川ユミさんのくらしで活躍する衣服を展示。今回合同でこの企画展を開催するchahatナハでは、ユミさんの作る旅のお守りと、哲平さんの旅のうつわを展示します。人の人生はまるで旅のようだな、と感じる事ってありませんか?日常を旅するように暮らすうつわと服、そしてこの世を旅するお供のうつわと布。とてもわくわくしています。
28日にはユミさんのちくちくワークショップをShoka:にて開催します。
詳細は Shoka:HP に掲載されている要項にそってお申し込み下さい。

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2人の企画展はチャハット那覇でも開催されます。
こちらもとても楽しそう!

終了したイベントです

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小野哲平・早川ユミ 二人展旅するうつわと旅するかみさま

旅の神様をユミさんの作った布に包んで、お守りのように持ち歩けるようにしたもの。
なんだかすごく楽しそう!
哲平さんの旅のうつわも気になりますね。
チャハットでの展示は3月2日から始まります。
→Shoka: は9日(日)まで。チャハット那覇は16日までの開催です。
是非日常と非日常をのぞきに、Shoka:とチャハットを行ったり来たりして、2人の仕事に触れてみて下さいね。

 

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暮らしを楽しむものとこと
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くらすこと いきること ぼくたちのくらしの中から生まれた服とうつわたちvol 1 早川ユミさんのちくちくワークショップによせて

*Calend Okinawaに連載していた田原あゆみの「暮らしの中の旅日記」から転載している過去の記録たち

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3月1日(土)から始まる陶芸家の小野哲平さんと、布作家の早川ユミさんの企画展。
去年の7月末に2人の暮らす高知県の谷相を訪ねた時に感じた光や風が、海を渡ってうりずんの沖縄へやってくる。

小野家で過ごした4日間はとても思い出深い。
そこには「くらし」が在った。

身体を使った労働も、五感を感じて作るお料理も、生きることの意味を求める哲学も、自然や大地に感じる畏怖の念も、人々とふれあい交流することで生まれる葛藤も、つきない探究心も、湧き出る好奇心に導かれる次の旅へのあこがれも。
なんだか懐かしいほど、人間らしい「くらし」。

朝起きたら、おはようと言い合ってみんなでご飯を作る。

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料理をして、食べる。ただそれだけのことなのだけれど。

世界中の人たちが当たり前の様に繰り返しているその行為と、食事の時間。
その内容は様々だろうけれど、小野家の食事の時間にはとても温かいものが流れているのだ。

 

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哲平さんが作ったうつわの上にパンや料理を載せて、やはり哲平さんの作ったカップにコーヒーを注いで頂く食事。
2人の元で働いているスタッフの人や、旅人、家族。
みんなで作って、みんなでいただく。
朝には朝の光が降り注ぎ、昼には蝉が鳴き、夜にはカエルの声が聞こえてくる台所。

ユミさんの畑から採れた野菜も並ぶ。

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ご飯を食べると元気が出てくる。
当たり前のことのようだけれど、身体は食べるものとその時間で出来てゆくのが体感できる。
そんなご飯は実はそんなにたくさんはない。

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「気がつくと、ふと手が伸びてしまうようなうつわをつくりたい」
そういっていた小野哲平さんのうつわは、お料理のためのうつわ。
うつわはもちろん料理を載せるためのものなのだけれど、家庭料理を育むような、包み込むような、そんな柔らかい肌をしている。
手料理がとてもおいしく見えるのだ。

 

その料理を作る中心にいるのが早川ユミさん。

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朝食の後に畑を案内してくれた。
うれしそうに、楽しそうに畑で出来る作物のこと、葛芋の蔦のたくましさとの格闘や、日本ミツバチの神秘的な生態、好奇心に導かれて始まった様々なことを眼を輝かせて話してくれた。

ユミさんの野良着は、ちくちく自分で作ったもの。
旅の途中で出会った、胸が躍るような布たちをリュックにいっぱい詰め込んで持って帰ってきては、かたかたとミシンを踏んだり、手でちくちくと縫い上げてゆく。

 

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自分たちが食べるものがどんな風に育つのか?
私たちの暮らしている土地は、どんな土で、どんな作物に適しているんだろう?
私も育てられるのかしら?
どれどれやってみよう。

そんな風に始まったのじゃないかしら。
きっと畑仕事は簡単ではないのだろうけれど、なんとなく気楽さを感じるのは、身体を動かす労働もその根底に好奇心がわくわくと流れているからだろう。

好きな布で好きなように作る日常着を着て、自分の身体で出来ることをする。
それはきっと楽しいだろう。想像しても力がわいてくる。

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日本ミツバチの集める蜂蜜は、自然のお薬。
貴重なのでとても大切にされている。

日本ミツバチは寒すぎても、暑すぎてもうまく育たない。
ある日こつ然と一つの巣箱に住んでいたミツバチたちが消えてしまうこともあるし、いなくなってしょんぼりしていると、翌年にはどこからかやってきて巣箱がいっぱいになることもある。
日本ミツバチとくらすことで、自然に耳を澄ます機会が増えたとユミさんはいう。

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お昼ご飯の時間。

その後はオーガニックマーケットへのお買い物。

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ユミさんのお出かけセット。
持ち物のどこをとっても、すべてがユミさんのスタイル。

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ご飯を作って、畑仕事、山を下りて買い物へ、そして大好きな布を触る仕事がこのくらしの中に共存している。

 

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ユミさんに初めて会ったとき、ふんわりとしていて柔らかい控えめな印象がしたのは、きっと隣にいた哲平さんという旦那様が熱い人だったからだ。
初めて会ったその夜に、一緒に晩ご飯を食べていて、「一体何がやりたいの?ここで」と、ズバリと本質的な質問を投げかけてくる哲平さん。その横で、ほんわりと微笑んでいた早川ユミさん。

谷相を訪問した4日間を通して、私はユミさんという人のこんこんと元気よく湧き出る好奇心の泉に触れたのでした。

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無心にちくちくと針で糸を運ぶユミさん。
この仕事がユミさんのライフワーク。
ユミさんの存在意義の大きな柱。

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旅で集めてきた布を、切って、合わせて、ちくちくちくちく。

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やりかけの景色も、やっぱりユミさんらしい。

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ミシンでかたかた縫ったり、陶土で作った焼き物のボタンを縫い付けたり。

 

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そんな風にして出来上がってゆく、日常着たち。

食べて、仕事をして、休む。

それが私たちのくらしの単純な姿。

その全部を自分らしく、自分の感覚も、頭脳も解放して体験したい。
そんなユミさんの暮らしに触れて、私の娘の夕央も気がついたら無心にちくちく。

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ユミさんに分けてもらった、ちくちくワークショップのバッグセットを手に、集中してちくちく。
その日一日でかわいいリネンのバッグが出来上がったのでした。

シンプルなのに、その人が出るのが運針の糸の模様。
その人の息づかいが、糸の模様になって布の上を走る。

日常のくらしの中にある様々な仕事。
身体や頭を使う仕事と、無心になる仕事。
その両方があってこそ、人の心のバランスは健やかになるのかもしれない。
ユミさんと哲平さんのくらしに触れて、私はそう感じたのでした。

さて、私たち日本人の多くの若い世代のくらしは、今はもうアスファルトが敷き詰められた街の中。
むき出しの土を見たり、草を踏んで歩いたり、そんなことももしかしたらわざわざすることの一つになっているのかもしれない。
現代人の多くは、露で濡れた土で靴底を汚すことも少なくなってしまった。

けれど私たちは、心のどこかで知っている。
手塩にかけて育てた野菜はおいしいことを。
好きな布を自分で縫うのは楽しいことを。
本気で向き合う仕事がどんなに人生を豊かにするのかを。

3月1日から始まる、哲平さんとユミさんのこの企画展で、2人のくらしの中から生まれる服やうつわを通して、感じてもらえたらうれしいこと。
それは、私たちは公も私も一つだということ。
衣食住にまつわる日常の雑務も、公に自分の才能を捧げる仕事も、旅も、遊びも、個人の哲学も、どれも切り離せない一つの景色。

人の数だけ、様々な景色があるけれど、私はこの2人に出会って、とてもうれしくなったのです。
自分の中から溢れてくる好奇心に素直に生きると、こんな風に感情が生き生きとするということ。
いくつになっても、笑顔がぱっと花開く、そんな大人が増えたら、子供たちも早く社会に出たくてたまらなくなるのじゃないかしら?
魅力的な人に会うよろこびは、もしかしたら人間にとって最も大きなよろこびなのではなかろうか。
そんな風に私は最近思うのです。

そうそう、それから今回の企画展はチャハット那覇と同時進行で開催します。
Shoka:ではくらしの中の服とうつわを、チャハット那覇では旅のうつわと布を。

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小野哲平・早川ユミ 二人展旅するうつわと旅するかみさま

旅の神様をユミさんの作った布に包んで、お守りのように持ち歩けるようにしたもの。
なんだかすごく楽しそう!
哲平さんの旅のうつわも気になりますね。
チャハットでの展示は3月2日から始まります。両企画展供に16日までの開催です。
→Shoka: は9日(日)まで。チャハット那覇は16日までの開催です。
是非日常と非日常をのぞきに、Shoka:とチャハットを行ったり来たりして、2人の仕事に触れてみて下さいね。

 

ちくちくワークショップとトークイベントのお知らせ

終了したイベントです

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早川ユミのちくちくワークショップ
好奇心旺盛で、くらしにまつわる様々な事に興味津々の早川ユミさん。ミツバチの巣箱を置いて、日本ミツバチの生態に触れる事で土地のリズムを感じたり、高知県谷相の山間の村で畑を耕し植物の成長に自然のささやきを聴いたり、大好きなアジアを旅したり。そのユミさんがライフワークにしているのが、ちくちくと愛着を感じる布を縫って、服を作るという事。その服は日常や旅で活躍する生活の服。 見た目よりずっとパワフルでたくましい女性ユミさんと一緒に、ちくちくと普段使いのバッグを縫うワークショップです。 みんなでわいわいがやがや楽しくバッグを作って、好奇心が形になるよろこびをバッグに入れて持ち帰り!そんな楽しい会になるでしょう。 先着順に受け付けていきますので、皆様早めにお申し込み下さいね。
開催日時 2014年 2月 28日(金)
第1回 10:00~12:30 (定員20名)
第2回 15:00~17:30 (定員20名)
参加費 一人4500円 ちくちくバッグセットの材料費込み(飲み物とお菓子つき)
持ち物 糸切りはさみのみ(バッグの材料や、糸と針などは開場に準備してあります)
場所 Shoka:

 

小野哲平さん、早川ユミさん トークイベント

 

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終了したイベントです

「くらすこと 生きること ぼくたちのくらしの中から生まれる 服とうつわ」
日時   3月1日(土)
開場   18:00
開演   18:30 ~ 20:00
高知県谷相の山の上の小さな村に住んでいる哲平さんとユミさん。手仕事が好きで、服をちくちくと作ったり、畑をしたり、暮らしに関わることならなんでも興味津々のユミさん。「おれは土さえ触っていたらいいんだ。この仕事が大好きなんだよ」と言い切る陶芸家の哲平さん。住んでいる大地にしっかりと足をつけてくらすことと、旅に出てそこから有形無形を持ち帰ってくることの循環が彼らの暮らしに何をもたらして、どんなことが生まれているのか。田原はそこにとても興味があります。とても感受性豊かで、生き生きとしている二人からいろんなお話を聴くのが楽しみでたまりません。そんな2人の話を聞きたい!という仲間を募集します。

 

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○お申し込み方法

 

1.参加者名(全員のお名前を書いてください)
2.連絡先(ご住所・携帯電話番号・メールアドレス・車の台数)
3.メールのタイトルに「ワークショップ参加希望」もしくは「トークイベント参加希望」と必ず書いてください。
お申し込みはこちら
以下の点にご注意ください
◯必ずメールにてお申し込みください。
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、お話しやワークショップに集中していただきたいことから大人のみの参加とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◯駐車スペースが限られていますため、車でいらっしゃる方はできるだけ乗り合せのご協力をお願いします。

 

 

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