銀彩のうつわいろいろと、経年変化

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銀彩のうつわには独特の存在感がある。

心惹かれる佇まい。

一番上に積んであるのが白銀彩のお椀。その下にあるのが黒銀彩のお椀と皿。

安藤雅信銀彩

大きさは、お茶の時間にカフェオレとお菓子を一緒に楽しめるくらいのサイズ。

夜ならロックで割った焼酎や泡盛、そしておつまみを小皿に載せて。

安藤雅信銀彩

貫入が絵のように広がっているものもあれば、ぴかっと滑らかな肌のものもある。色合いもそれぞれ少しずつ違って、どれも味わいがある。私は貫入の景色が好きだ。

貫入というのは、高温で焼かれた後陶器が冷えてゆく過程で、陶土の上層に塗ってある釉薬と陶土の冷えるスピードが違うために入るひびの事をいいます。

ひびと言っても表面のガラス層に入っているので、割れる直前のひびとは違う種類のものです。

この貫入の間に経年変化を経て、少しずつ色が付くことで最初の雰囲気からどんどん柔らかな表情が育ってくるのが私はとても好きなのです。

「景色が育つ」という言葉を、陶器の姿を眺めてつぶやく日本人の感性にはとても深い精神性を感じます。一つの陶器の上にその眺める人の見いだす世界があるのでしょう。

安藤雅信銀彩

白銀彩の板皿の上に、椀を載せてお茶やコーヒーの供を。

苦菜の白和えを載せて、お酒をいただいても良い景色になりそうです。

多くはいらない、けれど深く寛げそうな佇まいのうつわたち。

一体どんな風な経年変化を見せてくれるのでしょうか?

安藤雅信銀彩

このうつわたちは、私の私物です。

奥の黒光りしている黒銀彩のうつわとお皿は3年ほど使っているものです。朝食で目玉焼きとパンを載せたり、ぶどうを載せたり、オリーブオイルと塩を入れてパンや蒸し野菜につけて頂いたりもします。

いい艶が出て、深い表情になってきました。

手前の光っている銀彩は、4ヶ月ほど使ったもの。

使う人の使い方や、何を入れるかで変化してくる表情がうつわの愉しみの一つです。

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安藤雅信「お茶周りのうつわ展」 探りあてた形

shoka

2月7日(金)から始まった安藤雅信氏の「お茶周りのうつわ展」
今年の7月にギャルリ百草で開催される予定になっている『百草百種展 沖縄から』に参加する作り手の工房を取材をするために来沖することになった安藤さんが、沖縄へ行くのなら何か企画展をしませんか、と提案して下さったのは去年の始め。

 

以前から安藤さんのコーヒーカップやお茶周りのうつわが欲しかった私は、内心小躍りしながら「ではせっかくですからお茶関係のうつわ展をしませんか?、お茶といってもお抹茶だけでなく、お煎茶や中国茶、コーヒーカップなど、日常をリセットするような時間のためのうつわたちです」と、あたかも今思いついたようにさらりと伝えた。
「うん、分かった」と、安藤さん。

 

それだけで、後はいっさいの打ち合わせをしないまま時が流れた。

 

安藤雅信さんは陶作家という作り手の仕事をしながら、ギャルリ百草の経営、そこで開催される企画展の企画、作り手との打ち合わせと、かなりの仕事をこなしている方。

 

私は時々この企画展の進行状況が気になって、私がずっと欲しかったコーヒーカップや、ポットたちは本当に入荷するのかしら?、一体どのくらいの点数がやって来るのだろう?私が買える分はあるのかしら?と、不安を感じつつも、多忙な安藤さんに連絡するのは気が引けて、ただただ信頼して搬入の日がやってきた。

 

安藤さんと一緒に工房周りと深夜まで繰り広げられた交流会をこなして帰ってきた私を、Shoka:に届いたうつわたちが待っていた。
私の留守を預かってくれたShoka:チームのみんなが、営業をしながら品出しまでやってくれていたことにうれしくて涙しつつ、欲しかったうつわたちを前にくるくると踊りださんばかりのうれしさが溢れた。

 

シンプルこの上ないのに、なんて多様性に満ちているのだろう。
様々な形のコーヒーカップやティーカップ、湯のみ・コーヒードリッパー・急須・ポット・ピッチャー・中国茶セット・お茶のお供用の菓子皿・お抹茶茶碗・花器。
どれもこれも心が高鳴るようないい形と心惹かれる佇まい。

 

 

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すっきりとした白。

 

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大好きな銀彩も。

 

 

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今までには無かったような明るい色のついたうつわだってある。

 

「歳を取って、色気付いてきたんだよ」と、うれしそうに安藤さんは笑った。

 

 

 

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ミナ ペルホネンとコラボレーションしたピクニックコーヒーセット!
グラインダー・コーヒー豆入れ・ドリッパー・ピッチャー・コーヒーカップ・計量スプーン。
すべてがミナ ペルホネンの布に包まれて、竹の籠にすっきりと収まる。
なんて粋なセットなのでしょう。

 

お家でだってこのセットでコーヒーを淹れたくなるだろうし、内でも外でもピクニック気分がいつだって味わえそう。

 

 

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旅茶セットは、柳宗理氏のデザインしたステンレスボールにすべてが収まるようにデザインされている。

 

旅先の宿で、この包みを開けて自分のために茶を点てる。
心も身体も寛いで、肚が座った一日になりそうだ。

 

安藤さんは、お茶を習っていない人でも、気軽にお茶を楽しんで欲しいから作ったのだそう。

 

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「宝瓶 ほうひん」と呼ばれるこの急須の一種は、高級なお茶を楽しむために作られた形。
佇まいがうつくしい。

 

昨年末に安藤さんの工房は注文を取ることを中止したため、作品とは一期一会の出会い。
しかも、安藤さんのデザインしたうつわの形は1200点もあるのだそう。
好きなうつわがあったら、次回はいつ出会えるかのか分からない。
好きな形や、探している形に出会ったら、迷わず手を伸ばして欲しい。
私もずっとコーヒーカップが欲しかったのだけれど、ギャルリ百草へも何度か行ったことがあるにもかかわらずなかなか出会えなかったのだ。

 

 

なので今回ばかりは、欲しいものと出会ったら購入させて頂きたい。
だってずっと待っていたのだもの。

 

 

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初日にやってきてじっくりと作品に見入る方。
眼で見る質感と、肌で感じる触感とを照らし合わせるようにしっかりと味わっていた。

 

安藤さんはたたら作りという技法でほとんどのうつわを作っている。
たたら作りとは、板状に伸ばした陶土を、石膏などの型に押し当てて成形して陶器を作る技法。
以前仕事場を訪問した際に、石膏の型を作る作業が一番好きだと語っていた安藤さんは、芸大では彫刻を学び、現代美術の彫刻家を目指していた時代があるのだそう。

 

7日の夜に開催されたトークイベントでは、美大では無視され、現代美術とジャズに傾倒し、大きな気づきがあったというインドからダラムサラへの8ヶ月の旅、彫刻家を目指して挫折したこと、そこから陶芸の道へ、そしてギャルリ百草が生まれ現在に至るまでの、どきどきするような冒険物語を話してくれた。

 

 

その中で最も印象に残り、安藤さんのもの作りの原点だと感じたことは、
「いらないところを削って削って、引いていった先に残った形が作品の元となる」ということ。

 

 

 

 

 

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削って削って、ここまでというところを自分の感覚で探り当てる。
そうして残った原型を元に、生まれたうつわたちはこの上も無くシンプルなのに存在感がある。

 

しかも、その上に素材を載せるとものすごく素材が映えるのだ。
時に、安藤さんのうつわの上に何かを置くと、まるでお互いの存在を引き出しあっているような、そんな景色が現れることがある。

 

 

息をのむほどに素材がかがやくのだ。

 

 

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私のお気に入りの銀彩は、3年ほど使い込んでいい艶が育ってきた。
このうつわの上に様々な料理やお菓子や、お茶を載せて、一体どれだけの楽しい時間を過ごしただろう。
Shoka:を訪れる様々な人々と、笑って泣いて。

 

 

 

 

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昨日の一こま。
うつわに入っているのはザクロのチョコ。
仲良しの3人組の楽しそうな笑顔は、後ろ姿からでも伝わってくる。

 

 

 

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「空気の箱」に西日が射して、空気が光に映っている。
素材や、自分の感覚に耳を澄まして、たくさんの雑音の中から、たった一つのささやきを探り出す。

 

若い頃にたくさん挫折した経験がある安藤さん。
世の中の常識や、当たり前とされて無感覚に人が従うようになった通説に何度も何度も叩かれたという。
それでも自分の気づきや可能性を諦めず、探求することをやめなかった安藤さんだからたどり着いた形の世界。

 

ただいまShoka:にて開催中の「安藤雅信 お茶周りのうつわ展」で、見て触れることが出来ます。
一期一会のうつわとの出会いで、数えきれないほどの寛ぎが楽しめるはず。

 

お茶の時間は日常のなかの泉。
私たちの人生の中の愉しみを潤してくれる時間。
安藤さんのうつわは、その泉の水を汲むのにとてもふさわしいと、私は感じているのです。

 

 

 

 

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2014年の企画展スケジュール
http://shoka-wind.com/about/schedule/

 

 

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安藤雅信 「お茶周りのうつわ展」

 

日常の中に空白をもたらすお茶の時間。抹茶・高山茶・お煎茶・ほうじ茶・ハーブティー。
香り高い珈琲も、それまた愉し。雑事の合間に時間を作り、お気に入りのうつわへ茶を注ぐ。
ほっ、と一息。
雑念雑事から解放されるそのひとときは、暮らしの中の憩いの時間。
コーヒーカップ・茶器・お茶菓子用のお皿にエトセトラ。
お茶の時間を大事にすれば、それすなわち日々好日也にけり。

 

期間:2014年 2月 7日(金)~ 16日(金)
場所:Shoka:
住所:沖縄市比屋根6-13-6
電話:098-932-0791
問合せ:info@shoka-wind.com

 

 

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暮らしを楽しむものとこと

 

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CALEND-OKINAWA  Shoka:連載記事 探り当てた形掲載しました

安藤雅信

2月7日(金)から始まった安藤雅信氏の「お茶周りのうつわ展」
今年の7月にギャルリ百草で開催される予定になっている『百草百種展 沖縄から』に参加する作り手の工房を取材をするために来沖することになった安藤さんが、沖縄へ行くのなら何か企画展をしませんか、と提案して下さったのは去年の始め。

そこから始まった今回の企画展。

人の出会いと、そこから生まれる眼に見えないものと見えるもの。様々な物事の始まりと、それまでを感じながらこの記事を書いていました。

よかったらどうぞ読んでみて下さい。

安藤雅信 探り当てた形

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サプライズ

Shoka:

今日はスタッフの由桂ちゃんの誕生日。

みんなでサプライズを考えて、わくわくの朝。3人で隠れて、クラッカーでパーンと祝ったら、腰を抜かして倒れてしまった由桂ちゃん。

とても喜んでくれました。Shoka:

節目の誕生日。

いい歳を重ねて、より魅力的な女性になってゆくだろう彼女の笑顔を見て、大満足の先輩3人はうれしくて仕方がないのでした。Shoka:

一番欲しそうにしていたプレゼントもビンゴ!挙動不審になるくらい喜んでいました。

カリーのついた朝でした。

(カリー 沖縄の言葉で、嘉利、嘉例、佳例という漢字をあてます。幸運の風を吹かせる。そんな意味合いの言葉です。)

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コーヒーの時間

安藤雅信

ずっと探していた安藤雅信さんの銀彩のコーヒーカップ。このカップが今回の企画展の呼び石なので、記念に一つだけ先に購入させて頂きました。

Shoka:に来て下さったことが何度かある、趣味で自家焙煎をしている大阪の方から送られてきたコーヒー豆を挽いて淹れた一杯。多趣味で奥様思いで素敵な方なのです。

お菓子はやはり遠くから飛行機に乗って通って下さる素敵な女性がパリからのお土産に持ってきて下さったのでした。

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そんな物語が、私のエネルギータンクを一杯に満たしてくれました。今日もまたたくさんの方達と、今日という時間を愉しみたいと思います。

 

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